小田原市議会の新議長に選出された 武松 忠さん 市内小八幡在住 49歳
原動力は家族愛
○…目前に迫った芸術文化創造センターや市斎場建て替えの入札。大型事業が始まるタイミングで、小田原市議会の新議長に就任した。「議会報告会の開催を通じて、積極的に市民に情報を提供していきたい」と、かじ取り役として気を引き締める。
○…短期大学校を経て、真空装置を製造する企業に就職。技術者として半導体などの開発に従事し、世界中を駆け回っていた。そんな折、祖母が腰痛を機に寝たきりに。「自分のハイテクな仕事はまるで役に立たないじゃないか」と、最愛の祖母を支えたい気持ちがありながらも、にわかに覚えた無力感。「当時、親の介護は女性の役目という時代。そんな事実にもひっかかった」。それまで関心のなかった社会の課題に対する「気づき」が深くなり、持ち前の行動力を発揮して志した市政。順風満帆なサラリーマン生活を手放すことに、「妻はあきらめさせようと周囲に働きかけていたみたい」と苦笑する。
○…根っからの理系で、機械いじり好きは相変わらず。中古部品を購入しては、車やバイクの修理に精を出す。だが、趣味のドライブはご無沙汰。大学生と高校生の娘がいるため、「なかなか自分の趣味に時間やお金を費やすことができなくてね」と、父親の表情をのぞかせる。それでも、毎晩欠かさない晩酌が、「社会人1年目の長男と車の話をしながら、一緒に飲めるようになったのが楽しくて」と嬉しそう。
○…4月の統一地方選挙は、過去最低の投票率を記録。なかでも、若年層の選挙離れを危惧する。しかし自身の経験になぞらえ、「街の課題が見えてくるのは、結婚や家族が増えたタイミング。でも、いずれ自分たちの将来に関わってくる問題だから、市政に関心をもってもらう仕掛けづくりをしていかないと」。「小田原っていいよね」と言われる街づくりのため、目指すのは腰を据えてじっくり話し合える議会だ。
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