社会福祉法人東洋会(崎村俊裕理事長)が運営する特別養護老人ホーム「ジョイヴィレッジ」で働く、フィリピン人のトーレンティラ・ディッキー・カンサナさん(27)が、このほど介護福祉士の国家試験に合格した。2009年から同会が介護福祉士不足の解消などを目的に、日比経済連携協定(EPA)により受け入れている外国人で、初の合格者となった。
EPAは、2国以上の間で物や人の流れを促進する協定。その一環として、日本では介護福祉士の候補生としてフィリピンやインドネシアなどの外国人を受け入れ、就労経験を重ねながら、国家資格取得を目指す動きがある。介護福祉士の国家試験を受けるには、3年間の実務経験が必要となる。
ディッキーさんは、フィリピンのミンダナオ国際大学卒業後、この制度を利用して来日。施設で働きながら、資格取得に向け勉学にいそしんできた。来日当初こそ母国との気温差に慣れず、長袖の洋服を何枚も着込んで生活していたというが、今ではすっかり小田原での生活にも慣れ、シティーモールや小田原駅周辺がお気に入りのスポット。「小田原駅前のラーメン屋が美味しくて」とすっかり小田原通だ。
昨年の不合格をバネに一層の努力をしたというディッキーさん。協定の取り決めで、今年も不合格であれば帰国しなければいけないという背水の陣で試験に臨んだ。
日本語を母国語としないEPAの受験者でも、試験問題すべての漢字にふり仮名がついてあるのと、試験時間が1・5倍というだけで、内容は日本人と同じ。専門用語も多く、「日本語独特の言い回しを理解するのが難しかった」と苦労を語った。
施設を利用する87歳女性は「優しく、誠実。いつも元気をもらっている」とその人柄を称え、待望の合格者に「仕事はもちろん、同じ境遇の後輩たちの良き道しるべとして、また、まとめ役として力を発揮してほしい」と施設長の熊谷久子さんは期待を込めた。
ディッキーさんは「資格を取得したことで自信になった。もっと頑張って仕事をしていきたい」と今後も小田原で介護福祉士として働く決意を口にした。
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