新型コロナウイルスの感染拡大に伴い地域経済や市民生活に影響が出ていることから、小田原市(加藤憲一市長)は4月10日、12億円規模の緊急対策を発表。財政調整基金から10億円を拠出し、補正予算を専決処分した。
全国の自治体に先駆け、県内でも初となる新型コロナウイルス対策基金を創設し、7億円を積み立てる。地域経済対策、感染症予防対策を迅速に行うことが目的。
また、市内の中小企業に向けた特別融資に2億8千万円を計上した。売り上げが20%以上減少した企業に対し、最大3千万円を市内金融機関を通じて融資する。事業継続や雇用維持に取り組む市内事業者などを支援する補助制度も新設し、商店街や経済団体等の対策事業への支援や国の経済対策を補完する支援等に2億円を確保した。
感染症対策として2千万円を充て、市民に次亜塩素酸水を無料で配布するほか、学校等でも利用体制を整える。さらに、看護・介護の現場に防護資材を提供する。
財政調整基金の活用について加藤市長は、「将来不測の事態にも財政的対応ができるよう蓄えている、極めて大切な市民の財源。市民の皆さんのいのちと暮らし、経済の営みがいま危機に直面しているとの判断」と説明している。基金は今後、市の財政支出に加え、広く市民から寄付を受け入れ運用していく。
経済界から「緊急要望」
小田原箱根商工会議所が小田原市と箱根町に緊急要望を提出した。4月13日に会見を行った鈴木悌介会頭は「ウイルスの爆発的拡大防止と地域経済を回すこと、2つの課題に対応しなければいけない状況。国や県の策を待つのではなく迅速な対策が必要」と話した。
要望では即時の対策として、自治体から中小店舗に向けた休業措置の要求、それと合わせた独自の現金給付を求めた。また事業者に手持ち現金を保持させる支援として、各種融資へのサポートやコロナ禍の収束後に使用できるプレミアム商品券の先行販売なども盛り込んだ。12億円に上る小田原市の経済対策を踏まえ、鈴木会頭は「もう少し出してほしい。段階的なこともあるとは思うが、この状況下で店舗に現金が回っていく仕組みを」と訴え、「両自治体からは前向きに検討してもらえる感触を得ている」と話している。
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