鮮魚商や仲買人らで組織する、小田原魚市場買受人組合の有志が「納め包丁講」を結成し、8月10日に大山詣りに初めて訪れた。大山詣りでは、江戸時代から庶民の間で木製の太刀を奉納する「納め太刀」が伝統的に行われているが、水産関係者らが太刀に代わり包丁を納め、商売繁盛や疫病退散などを祈願した。
大山はその山容が海上からもよく見ることができたため、羅針盤の役目を果たし、海洋の守り神、大漁の神として漁業関係者からも信仰を集めてきた。日ごろから、刃物の取り扱いに深く携わる、水産関係者らで組織する同組合の有志らは、自然の恵みに感謝するため、寿命を迎えた包丁を木太刀の代わりに奉納する「納め包丁」を2017年から実施。これまでは伊勢原市観光協会などが主催する行事「納め太刀ウオーク」に併せて包丁を送っていたが、今回は「納め包丁講」を結成し、初めて単独で大山詣りを行った。
この日は小田原市や秦野市、伊勢原市の組合員ら11人が、大山詣りの伝統的なスタイルの白い行衣を着て、大山阿夫利神社を訪問。不要になった包丁で、組合員のほか一般からも集めたもの約100本を奉納した。社務局では祈願祭が執り行われ、神職が祝詞を奏上して、商売繁盛や疫病退散を祈願した。その後、一行はケーブルカーを利用して下社へ移動して、神社を参拝した。
小田原駅前で鮮魚商「魚國商店」を経営する組合長の古川孝昭さん(67)は、「大事に使っていても寿命がきた包丁を、感謝を込めて納めさせて頂いた。できれば、この行事を毎年続けていけたら」と話した。
奉納された包丁は、リサイクルされる予定という。
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