真鶴町の松本一彦町長が選挙人名簿抄本を不正にコピーし、流出させた問題を巡り、町政の混乱が続いている。調査にあたった町第三者委員会が4月末に提出した報告書を受け、町は松本町長らを刑事告発する方針を発表した。同報告書の内容をまとめる。
松本町長への容疑5件
第三者委は同件について、不正に持ち出された名簿には投票履歴の記載もあり、選挙の公平性を揺るがす「前代未聞の不祥事」と松本町長を糾弾。町長の行為について【1】窃盗罪【2】建造物侵入罪【3】守秘義務違反の罪【4】職権濫用による選挙の自由妨害罪【5】買収(供与)罪に問われるべき、として町に刑事告発を求めた。
問題の背景
第三者委は松本氏ら関係当事者の順法意識の欠如が原因と指摘する。報告書では、当事者らは選挙人名簿抄本に表示された氏名、生年月日、性別、住所について、さして秘匿性が高くなく、不正はさほど重大なものではないとの意識があった、としている。
また、関係当事者同士の馴れ合い意識も要因と指摘。松本氏は、幼少期からの顔なじみで不正当時に町選管書記長だった男性に依頼し、2020年9月の町議選を前に青木健町議、岩本克美町議ら候補者3人にコピーを提供した。報告書では、受け取った3氏が20年の町長選で松本氏を積極的に支援、または支援する形となる選挙運動をしたことへの謝礼の意味合いが強い、としている。
再発防止案
第三者委は同報告書で、町長を含む全職員に「コンプライアンスと職務倫理研修の徹底」を強く求めた。また文書保管庫の入館管理の徹底など「物理的管理の強化」のほか「職制の見直し」も提案。「選管書記長は総務防災課長の充て職とする」との町の制度を見直し、権限・管轄意識の希薄化防止につなげるため、選管事務責任者と一般行政管理職との併任は可能な限り控えるべき、とした。
第三者委は松本町長に加え元選管書記長の刑事告発を町に求めた。
(5月18日起稿)
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