ピンクリボンぷらす小田原 女性のがんを考える会の代表を務める 前川 育さん 小田原市蓮正寺在住 73歳
がんがくれた人生
○…乳がんや女性特有のがんの正しい知識と早期発見を啓発するために発足した「ピンクリボンぷらす小田原 女性のがんを考える会」の代表を務める。「母親は自分のことを後回しにしてしまいがち。私には関係ないと思わないで検診を受けてほしい」と話す。さらには性別問わず全ての人のがんに対する啓発活動につなげていきたいという思いから、ピンクリボンに「ぷらす」を加えた。
○…愛媛県生まれ。結婚後、山口県で子育てをしていた最中、長男が4歳で突如白血病を患った。医師から死を宣告され、「それまでの何気ない日常が、キラキラと輝いて見えた」と振り返る。「1人になると涙が止まらなかった」。6歳で長男が旅立つとき、激痛に耐え切れず発した「もう、いや〜!」という叫び声は、胸の奥で今も響く。
○…自身も3度がんを経験。47歳で胃がんになり、手術で胃を亜全摘したときは、次女が小学5年生。「子どもを残して死ぬのかもしれないという不安は、海の中に潜ったようだった」。50歳で再び胃がんを患い、胃を全摘出。52歳で甲状腺がんになったが、「がんがくれた人生。命に感謝」と前を向く。長男の最期の言葉と、同じ病室の人たちが痛みに苦しみながら亡くなる姿が、緩和ケアとホスピス普及の活動へと突き動かし、がん患者のサロンの設立や教育活動にまい進した。
○…長女の子育てを手伝うために、7年前に小田原へ。愛媛や山口と似た穏やかな気候が気に入っている。会の発足を通じた縁で「さまざまな方とつながれた」とほほ笑む。「がんは早期発見できれば死亡率も低くなる。がんになっても、支え合える優しいまちにしたい。それが自分の仕事」。小田原で再び力強い第一歩を踏み出した。
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