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エコチル調査 「未来のための財産を」 13歳以降の継続が決定
子どもの健康と環境に関する全国調査(以下エコチル調査)の進捗状況などについて話し合う「神奈川ユニットセンター運営委員会」が11月29日に行われた。各地域の行政職員や医師、関係者らが出席し、調査の状況や今後の課題などについて確認しあった。
神奈川ユニットセンターの伊藤秀一センター長は開会のあいさつで、「東日本大震災やコロナ禍の中でとっているこのデータは今後ますます重要なものになる」と言及。さらに、当初は対象の子どもが13歳に達するまでの計画だったが、40歳程度まで調査を継続することが閣議決定されたと報告した。今後、保護者らに18歳までの調査継続の同意を依頼していく予定だ。
そのほか、成果発表や検査の進捗状況、これから始まる小学6年学童期検査や詳細調査についてなどの報告がなされた。最後に伊藤センター長は「国の未来のための財産を作っていると思っている」と話し、改めて協力に感謝を示した。
調査で見えてきたこと【1】母子家庭の予防接種を調査不十分な接種リスク1・34倍に
子どもの健康を守る上で欠かせない予防接種は、世界中で毎年200万人から300万人の子どもの死亡を予防しているといわれている。黒田浩行医師はエコチル調査のアンケート回答を活用し、母子家庭と子どもの予防接種との関連性を調べた。
対象となったのは8万2462人の子どもで、3188人が母子家庭、7万9274人がふたり親家庭。2歳時に必要な9種の予防接種が不十分だったのは、母子家庭が33・0%、ふたり親家庭が21・3%だった。さらに統計解析を行い、母子家庭では不十分な予防接種のリスクが1・34倍になることが推定された。
また、母子家庭が相対的に世帯収入が低いことで、予防接種の接種率にどの程度影響しているかを「媒介分析」と呼ばれる手法で検討。結果、10・5%が世帯収入によって影響されていると推定された。
環境改善の必要性指摘
黒田医師は「この数字から、世帯収入の影響は決して強くないことが分かる。母子家庭の予防接種率を改善するためには、経済的以外の支援も必要」と話す。
そこで考えられる要因の一つとして挙げたのが、「母子家庭の就業率の高さ」だ。子どもの予防接種が不十分になる要因は、貧困だけでなく、家庭と仕事の両立による母親の多忙さが関与している可能性を提示する。
これを踏まえ必要となるのは、母親の労働条件の改善とともに、子どもの健康管理のための有給休暇の制度化、母親の職場での予防接種プログラムなど、予防接種へのアクセス向上のための仕組み作りだと指摘。「貧困だけでなく労働条件も含めた母子家庭の社会環境を改善することが大切だと思う」と話した。
調査で見えてきたこと【2】母乳育児と体重変化エコチル調査データで明確な差
妊娠中や分娩後の体重変化は母親にとって気になることの一つ。体重変化をテーマにした論文も多数あり、エコチル調査のデータでも望ましい体重増加量を示す表が作成されるなど成果も出はじめている。
横浜市立大学附属市民総合医療センターの山本賢史医師はこの体重変化と母乳育児の関係性に着目。一般的に母乳育児の母親は、出産後にもとの体重に戻りやすいイメージがあるが、一方で相反する結果の論文もあった。山本医師は「これまでの研究はサンプル数が少ない研究が多く、差異が出にくい現状があった」と指摘する。
そこで、山本医師は約10万人のエコチル調査のデータから持病がある母親や双子の母親を除き、分娩後6カ月後の質問票の授乳に関する回答をもとに分析。完全に母乳だけで育てた集団と母乳とミルクを併用した集団に分類し、妊娠前、分娩時、分娩後6カ月の体重変化を比較した。
その結果、妊娠前の体重と分娩後6カ月時点での体重の差は、完全母乳の集団で0・2kg増、非完全母乳の集団で0・8kg増に。完全母乳の集団の方が、妊娠前の体重により戻りやすいということ分かった。さらに、この傾向は妊娠前から体重が大きい母親でより顕著となったことから、「特に肥満傾向の母親が母乳育児を行う動機づけになると思う」と話した。
真相に迫る研究に
山本医師は2つの集団間で明確な差を出せた理由に、エコチル調査のデータの信頼性と精度の高さをあげる。「より真相に迫ることができる研究が出来たと思う」と振り返った。
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