厚生労働省が4月に「人口動態保健所・市区町村別統計」を発表した。同統計の対象となる2018〜22年の期間で、箱根町の合計特殊出生率は県内で最も低く、また全国でも下位10位の数値であった。
合計特殊出生率は、「15〜49歳までの女性の年齢別出生率を合計したもの」で、一人の女性がその年齢別出生率で一生の間に産むとしたときの子どもの数に相当する(今回の統計では、5歳階級別の出生数と女性の日本人人口で算出)。箱根町はこの数値が0・92で、県内で唯一1・0を下回った。前回の統計(13〜17年)発表の1・13から0・21減少した。
未婚率が増加
出生率に影響すると考えられる未婚率について、国勢調査が行われた15年と20年の箱根町の各値を比較すると、15〜49歳の女性人口は185人減少している。その一方で女性の未婚者数は6人の減少に留まり、人口に対する未婚者の割合が高くなっている。また、総人口が約500人減少する一方で、世帯数は約300増加しており、独身世帯の割合が増えていることがうかがえる。
町の担当者によると、ホテルなど観光業に従事するために転入してくる人の多くは企業が運営する独身寮に入居する。そのため、世帯数は増加し、未婚者の割合も高くなる。しかし結婚を機に、住めなくなった独身寮を出て、より利便性の高い町外に転出していくという。
同町では小中学校の給食費を無償化するなど子育て支援策に力を入れるも、出生率の増加にはつながっていない。町の担当者は「働く場所としては選んでもらえても、住む場所としては選びきってもらえていない」と現状を受け止める。町内には現在、産婦人科・小児科の専門医療機関がないことを踏まえ、今年4月からオンライン相談サービスを導入するなど対策を進めている。
全国1887市町村が対象となっている今回の統計。近隣市町の合計特殊出生率は、開成町が1・47で県内最高。小田原市は1・24、湯河原町1・16、真鶴町1・14だった。神奈川県は1・26、全国は1・33。鹿児島県大島郡徳之島町が2・25で最も高く、鹿児島県と沖縄県が上位17市町村を占める。大学や短大、女子高が多く立地する京都府京都市東山区が0・76で最も低かった。
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