4年ぶりに市長職に就いた加藤憲一小田原市長に、今後の市政運営への考えなどを聞いた(聞き手/タウンニュース社 野口康英、6月17日取材)。
--施政方針の中の「未来を拓く人が育ち生きるまち」は、大きくとらえると教育への考えでしょうか。
「これからは非常に難しい課題に取り囲まれる時代です。いい古された言葉ですが子どもたちには『生き抜いていく力』を身につけて欲しいですね。小田原の子どもは進学、就職などで1回外へ出ることが多いですが、将来このまちを支えていく人材として帰ってきてほしい。地域の中で課題や可能性に出会い、いろんな人がいることも学べる体制を作っていきたいですね」
--ほかには。
「やはり主権者教育です。具体的には、例えば市民から預かった貴重な税金の使い道を、実際に子どもたちに考えてもらう。小学生議会や中学生議会を作り、仮に『年間予算500万円の使い道を皆さんで考え決めてください』と投げかける。そこで出た案件を我々が受け取り予算化し、議会で年度予算に上げる、そういうリアルなお金の使い方をしてもらいたい。小田原のためにどう使うかを考え、 実際にそれが使われ変わっていくかを体験してほしいですね」
――「多彩な資源が健やかに花開くまち」は、経済政策が含まれると思います。
「小田原には資源がたくさんありますが、まだそれを生かし切れていません。経済で短期的に成果が出るのは観光で、その一つとして『まち歩き観光』を徹底してやりたいと思います。 観光協会や地場産業、生産者の方たちと意見を交わしていきたい。生活文化、なりわい、文化と町並みや暮らし方そのものにいっぱい『光』があります。昨年の観光入込客数が過去最高の832万人で良い傾向ですが、それを地域の持続可能な経済の姿につなげていかねばなりません。また長期・ 中期的に効いてくるのは『産業化』することです。自然環境や農業関係でも無駄になっている資源がたくさんあります。少し手間をかけ付加価値を付けるというのはまだ創造できると思います。もう一つ大事なことは『エネルギー』。エネルギーの地産地消を進めることで地域外に流出していたお金をできるだけ地域内にとどめていきたい」
--エネルギーの”地産”を担うのは、主に太陽光発電でしょうか。
「ポテンシャル的に太陽光が有力です。一般住宅の屋根や事業所、工場建屋の屋上や壁面等々使える場所はまだいっぱいありますので、まずはこれをやりきる。あとは縁辺部の荒廃農地を開拓しソーラーシェアリングを乗せれば、いわゆる地域内独立型電源になります。大事なことは行政もある程度出資して関わること。売電収益の余剰が出れば、地域の公共交通などの財源にあてる。そういう意味での循環もつくっていきたい」
--県西エリアのリーダーシップをとっていく考えも表明されました。
「広域連携は、新型コロナもあり停滞していた感があります。そこは、もう一度流域の経済圏をつくる観点でつなぎ直していきたいと思っています。様々な地域課題を乗り越えていくために支え合う体制については 、互いの資源を融通し合うなど流域で共有できるものは結構有ると思っています」
--市長選では、多くの現職市議が前市長支持を表明しました。議会運営についての考えは。
「そんなに心配はしていません。しっかり議論をすれば、折り合いがつけられる話ばかりだと思っています。これまでの4年間を何がなんでも否定するつもりは全然なく、良いものは残していきます。見直しをかけるものも、いきなりバッサリではなく、順を追って合意形成をしながら進めていきます」
--小田原市政への関心が高まっています。市民にメッセージを。
「今回選挙で2万票以上の差がついたことは私も驚いていますが、市民の皆さんも驚いていると思います。 同時に、ちゃんと票を入れて自分の気持ちを表せば市政は変えられる、政治は変わるんだという感覚が得られたという声も多いです。言い方は難しいですが、市民の皆さんが主権者として覚醒した感があります。課題の解決は、市職員だけではどうにもなりません。市民の皆さんがいろんな現場で関わっていただかないと、具体的で効果のある市政改革や持続可能な地域づくりができません。これから皆さんが参画いただけるチャンネルをたくさんつくっていきますので、 ぜひ小田原市政の運営に入ってきていただきたい。そのための情報発信や設定をどんどん進めてまいります。関心を持っていただければありがたいです」
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