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畳にごろん 「ねころ文庫」 小田原市の村上さんが開所

社会

公開:2024年8月17日

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訪れた親子に絵本を紹介する村上さん(右)
訪れた親子に絵本を紹介する村上さん(右)

 小田原市栄町在住の村上久美子さん(58)が、築50年以上の自宅の一室を開放した家庭文庫「ねころ文庫」を7月に開所した。村上さんは「たくさんの絵本を多くの子どもたちと親御さんに楽しんでほしい」と切に願う。

 路地裏の小さな看板を目印に、引き戸を開けると土間から続く10畳ほどの板の間と畳の空間。所狭しと並ぶのは1000冊はある絵本や小説の数々。すべて村上さんが長年集めてきた本だという。

 村上さんは、幼少時代から絵本が好きで、大学で建築学を学ぶ傍ら、他学部の幼年童話、児童文学の授業も履修。結婚後は4人の子どもたちに絵本の読み聞かせをし、小学校の読み聞かせボランティアも18年と長く続けてきた。ところがコロナ禍で読み聞かせが休止になり、また自身も家族の介護で忙しく、本の多くはダンボールにしまったままになっていた。

憧れの家庭文庫

 転機は今年の正月。少しずつ日常を取り戻す中で、独立した子どもたちから言われた「お母さんの好きなことをやりなよ」という一言。その時、真っ先に浮かんだのが『家庭文庫』だった。

 家庭文庫とは、個人が自宅と蔵書を開放して、近所の子どもたちに本の貸し出しやお話をして聞かせたりする、小さな営み。1950年代に生まれ、かつてはどの町にもあったというが、生活の変化や公共図書館の普及とともにその姿を消していった。「本の楽しみを分かち合う家庭文庫に憧れていた」と村上さん。

 自宅を見渡すと、茶室として設えた和室が納戸と化していた。「もったいない。この畳の上でねころんで本が読めたら素敵」と思い立った。ボランティア仲間などに声をかけ、3人の協力で計画がスタートした。

親子が集う空間に

 村上さんら4人で運営を始めた本の空間では、4匹の飼い猫もお出迎え。近隣の幼稚園児たちをはじめ、親子、大人も訪れている。親子連れは「子どもと話しながら過ごせるのがうれしい。懐かしい絵本も多く、また来たい」と話す。村上さんは「子育てを振り返ると、子どもたちに絵本を読む時間が自分にとっても大切な時間だった。多くの人にその喜びを」と語る。本の貸出もあり、今後は読み聞かせの教室なども予定している。

 開所は火・木・土の午後1時〜4時。インスタグラム「ねころ文庫」で発信している。

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