リハビリ書道展を開催した 山口 庸子さん 南足柄市在住 65歳
自分らしくのびのび生きる
○…12年前にクモ膜下出血で倒れ、右半身マヒと失語症のリハビリのために始めた書道の作品展を開催した。「”上手に””きれいに”書けた作品ではないので、作品展のお話をもらった時はお断りしようと思ったんです」と恥ずかしそうに話す。自身と同じように障害を抱える人たちが家から外に出て生活を楽しめるきっかけになればと依頼を承諾した。
○…12年前、夫と仲のいい友人達で仙台の秋保温泉への旅の最中にクモ膜下出血で倒れ、そのまま入院。右半身マヒと失語症が後遺症として残った。「はじめは一生、車椅子で生活するのかと覚悟をしていた」。その後、横浜市総合リハビリセンターに入院中、今でも親交のある言語聴覚士の勧めで、障害者スポーツ文化センター横浜ラポールが主催する書道教室に入会し、書家・石田象童氏に師事するようになる。
○…病気で倒れる前は、主婦として家庭を守りながら、民生委員やPTA関係の仕事で県内各地を飛び回り、夫が「あの頃はがんばりすぎだった」と話すほどアクティブに活動していた。障害を抱えた今、一番の楽しみは3人の孫たちとのふれあい。「単語での会話になってしまうことが多いけれど、逆に私の言いたい事を理解しようと心でコミュニケーションをとってくれる。孫たちもそのほうが飽きないんでしょうね」。
○…3年間にわたる通院でのリハビリを続けた結果、今では一人で小田原や横浜まで電車で出かけて、ウィンドーショッピングができるまでに回復。「料理など細かい作業は難しい」と話すが、布団干しや掃除、趣味の花木の世話もできるようになった。
○…「以前は何でもきっちりやらなきゃと思っていたけど、病気をして、これからはできることをやって、自分らしくのびのび生きていきたい」。苦難を乗り越えた朗らかな笑顔は、これからも家族や周囲の人間に優しさと安らぎを与え続ける。
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