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足柄版 公開:2014年3月29日 エリアトップへ

タウンレポート 山北に足跡のこした画家 大正・昭和の女性を魅了 蕗谷虹児

文化

公開:2014年3月29日

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ふるさと切手に採用され人気を得た代表作の『花嫁』
ふるさと切手に採用され人気を得た代表作の『花嫁』

 大正から昭和にかけて活躍した山北町ゆかりの画家、蕗谷虹児(ふきやこうじ)の作品を展示する「蕗谷虹児展〜少女たちの憧れ〜」が、東京スカイツリータウン(東京都墨田区押上)9階の郵政博物館で開催されている。開館記念特別展として5月25日(日)まで。

 絵と詩によって女性と子どもの文化を豊かにした芸術家―。2011年に横浜と愛知で開催された「魅惑のモダニスト〜蕗谷虹児展」にあわせてNHKプラネット中部が刊行した図録の巻頭で、蕗谷虹児はそう評価された。

 1898(明治31)年、新潟県生まれの虹児は、20(大正9)年冬に知人を介して竹久夢二と出会い出版界に登場。子ども雑誌や単行本、婦人、少女雑誌などの挿絵が女性から支持され人気画家としての地位を確固たるものにした。

 描く女性は理知的で官能的。そんな相反する二つの魅力を秘めた若い女性を描けるのは虹児だけだった―。虹児はそうも評価される。

 挿絵画家から本格的な画家への転身をめざし1925(大正14)年にフランス・パリへ渡った虹児は、29(昭和4)年5月にパリで初の個展を開催。翌月に帰国の途に就き、日本では再び挿絵画家として活躍した。

校歌と校章

 戦況の悪化にともない1944(昭和19)年に画家としての活動を休止して山北町に疎開。種徳寺に家族で身を寄せ、程なく神縄の空き家を山北駅の近くへ移築してひっそりと生活した。 1946(昭和21)年に講談社から熱望され、雑誌『幼年倶楽部』で芥川龍之介「蜘蛛の糸」の挿絵を提供したことを機に『少女クラブ』の口絵や『令女界』表紙の仕事を再開した。

 こうしたなか1948(昭和23)年に山北高校の校歌を作詞。同校や旧吉田島農林高校の校章、山北中の校旗を手掛け、1954(昭和29)年に町田へ転居するまで地域に足跡を残した。

 晩年はアニメーションや作家、画家としての活動に比重を置き、1968(昭和43)年には代表作『花嫁』を発表。1997(平成9)年に新潟県新発田市のふるさと切手に採用された。この切手人気が今回の郵政博物館での企画展のきっかけになったという。

 中川温泉で蒼(あお)の山荘を営み、虹児の作品など約2千点を収蔵、企画展に作品12点を提供した倉形興斉さん(47)は「山北に暮らした偉人が国内外で評価されていることは町民の誇り。今後も作品などを大切に守っていきたい」と話している。

パリで個展

 郵政博物館開館記念特別展「少女たちの憧れ〜蕗谷虹児展」は4月13日(日)まで前期、4月15日(火)〜5月25日(日)まで後期展示。2015年には86年ぶりにパリで個展が開催される。

 問い合わせは、蒼の山荘「ギャラリー蕗谷虹児」【電話】0465・78・3311(倉形さん)へ。

山北町の自宅で撮影された妻・龍子との写真(昭和23年)
山北町の自宅で撮影された妻・龍子との写真(昭和23年)
蕗谷虹児(1898〜1979)
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