高校野球(硬式)の春季神奈川県大会で、立花学園高校=松田町松田惣領=がベスト16入りし、6年ぶりに夏のシード権を獲得した。2カ月後の選手権での躍進に期待がかかる同校を取材した。
大井町赤田の専用グランドで練習する立花学園は、過去の県大会で合わせて10回、ベスト8入りしている西湘地区の私学。2005年秋には、戦績やマナーなどが評価され、センバツ大会出場の県内候補、「21世紀枠」推薦校にも選ばれた。
指揮官は就任4年目の菅野敦史監督(54)。横浜商業(Y校)から立教大、社会人の熊谷組を経て立教大助監督、日大高と横浜創学館でコーチを歴任し、96年春に母校Y校の監督に就任した。同年秋季県大会で6年ぶりに優勝すると、関東大会でも準優勝し、翌春のセンバツ大会で同校を8年ぶりの甲子園へ導いた。
97年夏の県準決勝では、松坂大輔(当時2年)を擁する横浜に2-1でサヨナラ勝ちするなど、名将の一人として神奈川の高校野球史に名を刻んでいる。
立花では、就任からの3年間では県ベスト16に4回、ベスト8にも2回進出し、12年夏には4回戦で第1シードの東海大相模を破るなど上位に定着している。
111人の大所帯
立花学園硬式野球部は選手・マネージャーあわせて111人の大所帯。県内各地をはじめ静岡、東京、大阪、兵庫からも選手が集まり、今年は沖縄から3人の1年生を迎えた。
選手は、学校のある松田町から大井町赤田のグランドまで約7Kmを毎日ランニングで移動する。
「練習時間は午後4時半から午後8時までと長くはない。その分、選手には常に考えることを求めている」。菅野監督はそう話す。
「総合力は上」
「野球にとても詳しく、厳しさと明るさの両面で選手を乗せてくれる」。野田優貴マネージャー(3年)は監督についてそう話す。
その菅野監督が重要視するのが「条件反射」「状況判断」「体力」の3つの要素。「体力や技術に差がある上位との戦いでも、一瞬の状況判断を制すれば、十分に勝負できる」という。
4月20日に平塚球場で行われた春季県大会4回戦では、優勝候補の東海大相模に2-4と辛酸をなめた。個々の体力や技術に違いはあったが、それにも増して攻守の状況判断が明暗を分けた試合でもあった。
この試合、2番手としてマウンドに上がるも2失点を喫した布施拓馬主将(3年)は「個人としてもチームとしても相模との試合で課題がはっきりした。この2カ月ですべてを洗い出し夏に臨む」。そう話しチームで掲げる『新しい歴史』へ意欲を前面に出す。「Y校のセンバツ時より総合力は上。あとは主体性が伸びしろ」。そう話す菅野監督は夏に照準を合わせ、「就任以来はじめて」春の準々決勝を視察した。
「さらに意識を」
今年の立花投手陣は、右腕の中村陽太(2年)と布施拓馬(3年)の2枚看板を捕手の荒井貴仁(3年)がリード。打撃陣は錦織龍之(3年)と川曲拡斗(3年)が主軸に座る。3月以降は錦織が5本塁打、川曲も3本塁打と存在感を示すが「ここぞの期待に応えられるよう、さらに意識を高めてほしい」と、立花OBの松井理コーチ(25)。
夏の第96回全国高校野球選手権神奈川大会は、組み合わせ抽選会が6月7日(土)に行われ、7月12日(土)に開幕する。
19校が凌ぎを削る西湘地区では、立花のほか私学の相洋が4年ぶりに第3シードを獲得した一方で、優勝経験もある平塚学園がシードを逃した。公立ではエース狩野を擁する西湘の活躍も期待される。
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