任期満了に伴う大井町長選挙は12月7日に即日開票され、無所属で現職の間宮恒行氏(66)が無所属新人で元町議の牧野一仁氏(69)を退け5選を決めた。投票率は58・21%で、20年前の前回投票率を19・5ポイント下回った。
信任票、多選批判を上回る
間宮氏は、1994(平成10)年の初当選から4期連続の無投票で改選を重ね、今回が現職として迎える初の投票による選挙となった。告示を前にした11月下旬、間宮氏は自宅の応接間でこうつぶやいた。
「選挙は家族や後援会などいろんな人に迷惑をかける。負けたら申し訳がない」
その表情には一抹の不安が漂い、日ごろの豪傑なイメージには隠れた、気づかいの一面をのぞかせた。
そんな間宮氏に対し公然と多選批判を展開したのは、町議を辞職して挑んだ牧野氏だった。
4月に出馬を表明した牧野氏は「4期連続での無投票当選で権力が集中し、おごりやマンネリ化、停滞感を招いている」と多選の弊害を指摘。小児医療費助成制度の中学卒業までの対象拡大(通院)や、幼稚園の通常保育時間延長など、子育て支援の強化策を前面に打ち出して政策論争をけん引した。
”姿勢”で戦う
町が抱える懸案は相和地域の発展と人口減少社会への対応。その政策に大差はなく「多選の是非」が大きな争点として注目された。
この多選批判に間宮氏は「ただの多選ではない」と応戦。子育て支援が先行する福祉施策では、高齢者や障がい者も含めたきめ細かな福祉を強調するなど、自らの”政治姿勢”を前面に示す戦いを続けた。
選挙終盤は、日に日に凄みを増す間宮氏とは対称的に、牧野氏は一語一語をかみしめ静かに訴え続けた。
それぞれの弁
7日午後10時30分。当選確定の一報を受けた間宮陣営では、集まった約300人の支持者らが歓声を上げた。間宮氏は「票が割れたことは真摯に受け止めなければならない。初心に立ち返り、相手候補の施策の中でも良いものについては取り入れたい」と、戦いから融和に舵を切った。
一方、190票差で涙をのんだ牧野氏は集まった支援者を前に「勝算が低いことを承知で集まってくれたボランティアの皆さんと票を投じてくださった有権者の皆さんに感謝したい」と深々と頭を下げ一人ひとりと握手を交わし「(間宮氏には)ぜひ公約を実現してほしい」とエールを送った。
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合わせて実施された議員補欠選挙では、いずれも無所属で新人の清水亜樹氏(42)と諸星光浩氏(53)が初当選した。
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