大井小学校(米山和男校長・児童数630人)の6年生児童108人が12日、書道の反古紙をリサイクルした書初め用の再生半紙を使って書初めに挑戦した。大井町では5年前から再生半紙の活用に力を入れている。
大井町では2012年4月から町内すべての小中学校で再生紙を利用した書写の授業を実施。授業で書き損じた半紙を専用の袋で回収し、年間250kgをリサイクルへ回している。
黒い回収袋は、横浜市神奈川区を拠点に使用済み半紙のリサイクルに取り組む「一般社団法人エコ再生紙振興会」(松丸道雄理事長)が年3回ほど回収している。
使用済みの書道紙が廃棄されていることに着目し、再生紙を循環させる活動に取り組んでいる。県内の学校に書写の授業で再生半紙を使用するよう働きかけ、これまでに大井町をはじめ山北町などから年間10tほどの書き損じ半紙を回収して特殊技術で再生し「未来箋(みらいせん)」として普及に取り組んでいる。
大井町では2016年度までの5年間で約1tの反古紙を回収した。町では学校での回収のほか、役場でも回収していて、町長ら幹部職員はこの再生紙に書家が揮ごうしたオリジナル名刺を使用している。
再生の意識浸透
この日、大井小学校では体育館に6年生児童108人が集まり、体育館の床で書初めに挑戦。上質紙1枚と再生紙2枚を使って練習や清書に取り組んだ。4枚目、5枚目と筆を進める子どももいて、壇上に用意された上質紙と再生紙を追加で取りに来る子もいた。
3枚目を書き上げて紙を取りに来た笠原蘭さん(12)は「間違えてもいいように」と再生紙を手にし、4枚目の書初めに挑戦していた。
この日の書初め授業では、振興会の事務局として反古紙の回収や再生半紙の普及活動に取り組む書家の池田光希さん(50)=横浜市神奈川区=が指導にあたった。池田さんは「大きな紙に書く時には手だけを動かさず、体全体を動かして書くといい」などとアドバイスしていた。
再生紙を使った書道の授業について池田さんは「書き損じた半紙を捨てずにリサイクルすることは、環境教育にもつながる。再生半紙であれば安心して失敗もできるので創作意欲にもつながると思う」と話していた。
未来箋の販売価格は上質半紙とほぼ同額という。問い合わせは一般社団法人エコ再生紙振興会【電話】045・314・3005へ。
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