大井町高尾の棚田で17日、10年ぶりの田植えが行われた。地域住民でつくる「高尾棚田保存会」(藤澤憲吾代表・10人)が一念発起してこの棚田の再生に乗り出した。
棚田の広さは約5千平方メートルで篠窪から相模湾へと流れる中村川の水を引き入れ米づくりが行われてきたが、後継者不足の農家が増え大部分で荒廃が進んでいた。
「昔からの風景をよみがえらせたい」と、地元の農家の有志が立ち上がり昨年1月に保存会を結成した。
手始めに昨年、3千平方メートルで米を作り手ごたえを感じたことで酒米作りの案が浮上。大井町では昨年11月に「地酒で乾杯を推進する条例」が施行されたこともあり、町内の井上酒造(株)(井上寛代表取締役)に話を持ち込むと井上社長が快諾。比較的育てやすい品種の酒米「吟のさと」を栽培することにしたという。
この話に町も協力を申し出、棚田にトラクターが入れるよう農道を再整備した。町地域振興課は「農地の再生だけでなく、条例の目指す地域活性化も期待できる」と乗り気だ。
この日、会員はモミから育てた苗を機械や手作業で植えた。藤澤代表は「今後はオーナー制や体験などのイベントも企画して、里山の景色を残していきたい」という。
酒米は収穫後、井上酒造で醸造され大井町産の地酒として販売する。順調に育てば一升瓶で約1600本が生産できるという。井上社長は「昔は大井町の米で酒を作っていた。原点に戻るという意味もある」と期待を膨らませていた。
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