南足柄市内で収録した水の流れる音や鳥のさえずり、虫の音色などを使用したスマホ向けアプリ「AI風鈴」(東京都世田谷区・有限会社デジアート制作)が、無料配信されている。岡本中学出身の作編曲家、古屋沙樹さん(26)が集音と整音作業を担当している。
故郷の自然、企画にプッシュ
「AI風鈴」は、風鈴の音色や夏らしい自然の音を収録し、その音を人工知能(AI)が人間の心地良い響きと感じるように音の長さや組み合わせを多様な音色にして提供するアプリ。
2016年8月16日に配信を開始し、これまでに1万8千件がダウンロードされている。利用者の満足度も5段階で平均4以上と高く、8月28日のNHK首都圏ニュースでも紹介された。
風鈴の音色と合わせて聞こえてくるヒグラシの鳴き声や風の音は、南足柄市の矢佐芝地区や三竹地区で録音。この集音を担当したのは南足柄市塚原出身の古屋さんだった。
古屋さんは東京藝術大学音楽学部の作曲科を卒業後、2015年にこのアプリを開発したデジアートのスタッフになった。サウンドデザイナーとして音の編集業務に携わる。その頃から世田谷区でひとり暮らしを始め、今まで身近だった緑や土などに触れられる機会が減りホームシックになることもあったが「実家に帰ると心が落ち着いた」という。
「AI風鈴」の企画が決まると「真っ先に故郷の南足柄市の自然が頭に浮かんだ」と、マイクを持ち音集めに地元の山を歩いた。
その音源をもとに約1カ月かけて完成したアプリは口コミで評判が広がった。 古屋さんは「『風鈴の音を消して水の音だけを聞いている』という声もあった。地元の音が多くの方に楽しんでいただけて嬉しい」と話している。
アプリの好評を受け、8月24日からは清流や森林浴を体感できるリラクゼーションサウンドアプリ「AIRiver」の配信も始まった。これも収録地は南足柄市の最乗寺と夕日の滝。
古屋さんは「南足柄市には貴重な資源がたくさんある。都心から1時間半と足を運びやすい場所だと思うので実際に聞きに来てもらえたら」と地元、南足柄のPRも欠かさない。
アプリはアップル社が運営するアプリケーションサイト「アップストア」からダウンロードできる。
故郷の資源PRしたい
古屋さんはピアノの伴奏や吹奏楽曲、ミュージカルの編曲など幅広く音楽活動に取り組んでいる。
今年6月には日本音楽教育文化振興会が主催する映画やテレビ、ゲーム音楽の作曲家を発掘する「サウンド・クリエイター・オブ・ザ・イヤー」で実行委員長特別賞を受賞した。古屋さんは「南足柄市の自然を生かした演奏会なども企画したい」と話している。
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