西日本を襲った記録的豪雨による災害で、愛媛県西予市の山間部にあるダムの下流域が洪水の被害に遭った。足柄平野にも山北町に三保ダムがあるが、その存在意義を考える機会は少ないのではないだろうか。
国道246号の清水橋から約6キロ上流部にある三保ダムは223世帯1026人や小・中学校などが移転して1978年に完成した。ダムがたたえる水は丹沢湖として親しまれ、上流域にある中川温泉と並ぶ山北町を代表する観光地だ。
西丹沢が水源地の玄倉川、中川、世附川が合流して三保ダムで貯えた水は河内川となり、静岡県から流れる鮎沢川と合流して県が管理する二級河川の酒匂川となる。
ダムは下流域に対する洪水調整機能をもち、小田原や伊勢原、相模原、大和、川崎、横浜に水を供給している。その量は単独ダムとしては県内最多の31・1%で宮ケ瀬ダムの22%を上回る規模。
7月4日午前から3日間にわたって断続的に降り続いた雨は、6日午前2時からの1時間で31・8ミリを記録。1時間前に召集されたダム管理事務所の職員約15人が6日午前4時の放水に備え、それぞれの持ち場についた。
三保ダム管理事務所の鈴木英実所長は「24時間365日体制で職員が交代で降雨に備えているが招集が空振りすることもある」と話す。
山間部での強い雨やダムに注ぎ込む水量の増加、ダムからの放水や静岡での降雨状況を三保ダム管理事務所、通称「ダムカン」が40年にわたり担っている。ダムは厳密なルールのもとで管理されているが「職員は常に想定外を意識している」と鈴木所長は話している。
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