県は新型コロナウイルス感染拡大防止のため面会制限を行っている介護施設や障がい者福祉施設で、遠隔操作が可能なアバターロボット「ニューミー」を使った、施設の入所者と家族の面会実証事業を県内2カ所で実施した。そのうちの一つ、南足柄市の県西福祉会・足柄療護園では6月17日に入居者の親子や施設間でのオンライン面会を行い、コミュニケーションを図った。
高さ1・5mほどの支柱にタブレット端末が付いたアバターロボットを活用し、面会を行ったのは入所者の和田成美さんと母・智子さん。
智子さんがロボットを自分の分身として操作し、画面越しに互いの顔を見ながらコミュニケーションをとった。ロボットの端末画面に別室に控えた母の顔が映し出されると、成美さんは開口一番「お母さん」と満面の笑みを浮かべ、智子さんも「元気、久しぶりだね」と応えた。
その後はロボットのタイヤが動く特性を活かし、成美さんの車いすと鬼ごっこをして遊ぶなど会話以外の活用法を見出しながら親子水入らずの時間を楽しんだ。
同施設は新型コロナ拡大防止のため2月頃から面会制限を行っており、和田さん親子が顔を合わせるのは約2カ月ぶり。久しぶりの再会はロボットを介してとなったが、成美さんは終始心を躍らせ、実際に会うこととの違いは「ないです」と微笑みながら即答した。
これまで少なくても週1回は必ず施設に通っていたという智子さんも「娘の笑顔が見られてよかった。直接会えることが一番だが、このようなご時世だし、初めてのオンライン面会も新鮮だった」と振り返った。
今後は訪問体験も検討
今後、県では新たな社会モデルの構造に向け、ロボットを活用して様々な場所の訪問体験も検討している。ロボットを外部に持ち運ぶことで、画面上でその場に行った気分が味わえるという利活用も可能になる。智子さんは「娘は我が家が大好きなのでロボットを使い、家の様子も知らせてあげられるかもしれない。システムをうまく活用できれば一緒に行けなくても私がいろんな場所に行って、娘に気分だけでも味わってもらえたらうれしい」と期待を寄せた。
県西福祉会の柴田和生事務局長は「万一のことを考え、施設では秋まで外出ができないという現状の中、入所者の方々の楽しそうな表情が見られてよかった。今後、課題も出てくると思うが、公園や水族館などにロボットを持ち出すことが可能になれば新たな支援方法の一つとして活用を考えていきたい」とロボットの活用法を模索する。
全国ではすでにアバターロボットを導入しているところもあり、石川県加賀市の病院では面会などで活用している。
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