国が定める消防法に基づいて各市町村に設けられている「消防団」。仕事との両立の難しさや体力勝負といった活動イメージ、ライフスタイルの多様化などが理由で全国的に年々団員数が減少傾向にある。
足柄上地域1市5町それぞれの基本団員の充足率を調べてみると、南足柄市が約73・8%、中井町が約97・6%、大井町が約84・6%、松田町が約82・8%、山北町が約81・6%、開成町が約85・1%(いずれも2021年4月時点)となっている。近年は退団者が入団者を上回る状況が続き、条例で定めている団員の定数(条例定数)には達していない。
こうした中、より多くの人の参加を促すためにあるのが機能別団員(分団)制度だ。これは、それぞれの能力やメリットを生かして特定の消防団活動や時間の許す範囲での活動をする団員のこと。団員が減少傾向にあっても消防力は維持しなければならない中で生まれた制度で、近年全国的に導入が進んでいる。
例えば、仕事や家族の都合で全ての活動への参加が難しい場合には、火災予防や広報の団員としてイベント等に参加する、災害時のみに限定して活動を行うといった関わり方がある。
南足柄市では昼間の時間帯に対応できる団員を確保することなどを目的に、2017年度に新たに「機能別消防団員」制度を導入。19年度には松田町も続き、山北町も今後導入予定。しかし、これまでは思うような人員確保につながっていないのが現状で更なる対応を迫られている。南足柄市では来年度に向け、消防団の再編計画の策定を行う。同時に団員が利用すると商品の割引などのサービスが受けられる「市消防団応援の店」の登録店舗数の充実や報酬等の金額を検討する予定。大井町でも今後「協力事業者制度」や「学生消防団活動認証制度」の導入を検討しており、企業勤めの人や学生が活動しやすい環境づくりを目指すとしている。
どの自治体も目標は消防団員の充足。しかし充足に向けて有効な手段は見つかっておらず、さらなる対応は喫緊の課題となっている。
取材を通して
消防団の活動は、消火にとどまらない。地震や風水害など、多くの人員が必要な大規模災害時、救助や救出活動、災害防御活動などでもその力は欠かせない。
各自治体が懸命に努力しても、高齢化が進行し続ける中で人員確保が難しいことは想像がつく。変えるには、若い世代にその活動内容や団の現状がもっと知られることが一つ。そして長年言われていることだが、もう一つは郷土愛の醸成か。団員増に即効性はないが、助け合い、支え合うネットワークが、地域の課題も解消していくのかもしれない。
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