立花学園高等学校の学校長に就任した 矢藤 慎一さん 南足柄市在住 55歳
失敗恐れず共に挑戦
○…次期校長の打診を受けた昨年は、副校長の立場で今後の方向性について何度も自問自答を繰り返した。統率力のある前校長は、「生徒に向き合うこと」を教員に意識づける学校改革に取り組んだ。その成果は生徒の大学進学や部活動の戦績に少しずつ表れるようになり、学校に対する周囲の認識の変化を感じ取った。託された襷の重みを受け止め「目的をもって入学する生徒の挑戦を支える校風づくりが使命」と考える。
○…創立94年を数える中で、同学園では地域に貢献する学校づくりを推進してきた。付近の河川を対象としていた清掃活動は、学び舎のある松田町全体にエリアを広げ、全校生徒1300人が参加する一大行事になった。地域交流も積極的で、科学部の生徒が近隣の小学校でプログラミングの授業を行ったり、今年は運動部が中学生に胸を貸す。「地域課題に目を向けて改善策を考えてみるきっかけとする上でも地域に根差す姿勢は大切」と説く。
○…大学時代はバブル期の真っ只中。数社の内定を手放して教職へと進路を変更したきっかけは、母校の小田原高校で行った2週間の教育実習だった。生徒と一緒に小田高祭に携わり、「在学時にはなかった楽しさ」が決め手となった。立花学園高に採用されると、国語科教師として昨年まで32年間にわたり教壇に立った。
○…新入生の学業成就や身体健全を願う「大雄山登拝」は80年近く続く学校の伝統行事で往復16キロを生徒と共に歩く。道中は途中から急坂にもなり、「苦難を乗り越えるように踏みしめて一歩ずつ」と表す。「失敗を恐れずにチャレンジしよう」。校長として初めて迎えた入学式で、新入生に向けたあいさつで言葉を自身にも向ける。
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