ボランティア団体「暁の星」の代表を務める 大石 惠子さん 南足柄市在住 81歳
感謝の気持ち 縫い込んで
○...繕い物を通じた奉仕活動を続ける「暁の星」。有志と共に立ち上げ、およそ半世紀にわたり代表を務めている。現在のメンバーは70〜80代の女性15人。近隣市町の児童養護施設の子どもたちに布製のエコバッグや靴袋、ナップサックなどを作って提供しているほか、障害者福祉施設を訪問し、利用者の衣類なども修繕。特別養護老人ホームではベッドの柵のカバーの製作なども続けてきた。「好きな裁縫で多くの人のお手伝いができるのが生き甲斐になっています。受け入れてくれる施設の皆さまに感謝です」。そう語る声がとても明るい。
○...東京生まれ。通っていた中学が教育に奉仕活動を積極的に取り入れており、乳児院でおむつを縫う作業をした体験がボランティア活動の原点だ。「中学時代は縫い物が下手でした。施設のミシンを壊してしまい『これからは子どもと遊んでいてください』と言われてしまった。いま裁縫のボランティアをしているのが噓みたい」と笑って懐古する。
○...趣味は短歌で、もう30年ほど続けている。南足柄市内を歩いては、自然の美しさに心が震え、創作のアイデアが浮かぶことが多いという。『冬陽浴み 観音菩薩佇つ辻に 木守りの柿は 朱を献じゐつ』。冬の陽射しの中、柿の木がまるで、そばにいる「観音さまに朱色の実を差し上げているみたいに見えたので」。草木にも優しい眼差しを向ける。
○...早稲田大学で仏文学を学んでいた頃、視覚障害のある学生への支援として、卒論を書くために必要な資料を声に出して読むなど、力添えをしたことも。「人と人が助け合うのは当たり前。奉仕って特別なことではないんです。暁の星の活動は、元気な内はずっと継続していきたいですね」
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