100年前の1923(大正12)年9月1日の正午近くに発生した「大正関東地震」。関東一帯が火災や津波などに見舞われた「関東大震災」を引き起こした地震である。このとき県西地域では何が起こったのか、改めて知ることで今後直面するであろう大地震への備えを考える。
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関東地方を載せた陸のプレートとその下に沈み込む海のプレートの境界で岩盤がずれ動くのが関東地震。小田原市入生田にある「神奈川県温泉地学研究所」の本多亮博士によると、大正関東地震の震源は県西部にあるという。「海のプレートが大陸プレートの下に沈み込むときに、大陸プレートも引きずり込みます。その力に耐えられずに陸のプレートが跳ね上がり、プレートの境界で岩盤がずれ、地震が発生します。丹沢や三浦半島の下のプレート境界で大きな滑りがあったとされていますが、当時の地震計の記録を基に考えられている震源(岩盤が滑り始めたところ)は、足柄平野の北部、現在の松田町付近になります」
過去の文献に多いのが、この地震は「2回もしくは3回大きく揺れた」というもの。実際、1回目から数分後に大きな余震があったことが分かっている。本多博士によると「2日間で5回もの大規模な余震が発生していますが、これは関東地震の特徴」だという。「本震後の余震がいつ、何回くるのか予知することは難しいが、次の関東地震でも同様に大きな余震が多発する可能性があります」(本多博士)。
東北地方太平洋沖地震(2011年)の地震規模はM9。大正関東地震はM7・9と、エネルギーの大きさで言えば30分の1以下だが、内閣府は想定外をなくすという観点から、関東地方でも最大M9クラスの地震が発生しうるとし、さまざまな検討を行っている。
本多博士は「関東は100年に1度は地震の被害を被ってきている地域。この100年、関東で大地震は起きていませんが、次の地震に向かって進んでいることは確か。いつかその機会は訪れ、その揺れは一度では終わらない。そんな心構えを頭の隅に持っていてほしい」と話す。
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