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足柄版 公開:2024年1月27日 エリアトップへ

連載【2】 現代に伝わった人形芝居―班目人形芝居の歴史― 足柄高校歴史研究部3年秋山七海さん

公開:2024年1月27日

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富士新聞の石塚花之助の記事(2023年3月30日撮影)
富士新聞の石塚花之助の記事(2023年3月30日撮影)

 県立足柄高校3年の秋山七海さんは昨年11月25日、「全国高校生歴史フォーラム」で江戸時代から続く南足柄市の「班目人形芝居」の歴史をテーマに研究発表を行い、奈良県知事賞を獲得した。前回に引き続き、そのレポート全文(写真の一部含む)を紹介する。

(3)大正時代以降の班目人形芝居

 大正12年(1923)の関東大震災で、それまで班目人形芝居で活動していた公民館は半壊し、土蔵は全壊した。土蔵の中に納めてあった首や衣裳等も損傷してしまった。そのため、班目人形芝居は活動ができなくなったという。昭和8年(1933)に福沢村(班目地区を含む)に発電所ができて補助金が出たおかげで、班目人形芝居が復活した。この復活の背景には、石塚花之助をはじめとした村人たちの努力があった。

 先程述べた新聞は、調査の過程で『読売新聞読売神奈川』だということが分かった。新聞には、「同村に長く伝わる文楽操り人形を40年振りに復活させ都会に憧れる青年女子に農村芸術の尊さを吹き込み」とあり、花之助が人形芝居を復活させたことが記されている。花之助は当時座長格で、指導の中心人物であり、班目人形芝居の稽古は花之助の家で行っていたようだ。新聞では、花之助のことを「第二の尊徳」と評している。さらに、昭和8年(1933)の『東海新報』の記事にも「復活に懸命な修業をつんでいる上郡福澤村班目の中堅三十余名は石塚花之助氏宅に相寄つている」と書いてあり、この頃に花之助が復活させたことは大々的に新聞で報じられたようだ。私の祖母(高橋晴世・花之助の孫)の話によると、祖母が高校生の頃に広い土間のある家から現在の家に建て替えたと語っていた。この広い土間で班目人形芝居の活動が行われていた可能性が高い。その後、先程の『読売新聞読売神奈川』はコピーであり、原本が見つかっていなかったため、祖母の家や仏壇の中などを調査した。

 調査の結果、仏壇の中から花之助の新聞の原本が見つかった。その他に、私の曾祖父である高橋亀太郎がこの地域の事柄を記事にまとめ発行していた大量の『富士新聞』が見つかった。しかもその中に、花之助に関する記事もあった。記事には、「関東大震災のため大破したものを当時世話人株にあった故石塚花之助氏らが中心になって大修復したものであった」と記されており、人形芝居の衰退は関東大震災の影響が大きかったこのこともこの新聞から裏付けられた。

(4)戦後の班目人形芝居

 昭和8年(1933)に復活をした班目人形芝居であったが、第二次世界大戦のために中断を強いられてしまった。

 戦後に再興が叫ばれたが、人や物が不足する中では思うように行かなかった。それでも、昭和30年(1955)の町村合併の頃には一時、文命座と名付けて細々とした活動を続けていたようだ。この年の4月から工事が行われていた南足柄町中央公民館が11月に完成し、昭和30年(1955)の中央公民館落成式が行われた。この時こけら落としとして班目人形芝居が行われ、郷土に誇る文化財として喝采を浴びた。上演した人形の首は痛みも酷く、あやつりの糸は切れ衣装もねずみに食われ傷んでいる状況の中で応急処置をし、やっと間に合わせたものだった。そこで町が首の修理を阿波の人形師である大江巳之助氏にお願いし、力を入れようとしたが、既に時期を逸していたのは残念なことであった。

 こうして、班目人形芝居は昭和31年(1956)4月15日に隣町の開成町下島公民館での公演が最後のものになってしまった。演目は「傾城阿波之鳴門」と「壺坂観音霊験記」の2つで、古老達が、左遣いが欠けたりしながらも立派に演じた。ここで班目人形芝居は一度中断することとなった。 連載【3】へ続く

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