フリーランスなど個人事業主をはじめ、アパートなどの賃貸料収入などがある多くの人にとって、確定申告の手続きや記帳は必要なもの。納税者団体「公益社団法人 小田原青色申告会」が、広報紙「青色十色(あおいろといろ)」(タブロイド紙)を主に隔月で発行し、税の情報をわかりやすく、親しみやすく伝えている。会員への郵送だけでなく、新聞折込で地域住民に向けても情報発信している全国でも珍しい取り組みだ。
同会は1950年に発足。県西地域を中心に約1万2000人の会員を持つ。観光関連や農業、IT関連など多様な事業を展開する会員に向けて広報紙を発行してきたが、「会員はもとより、これから起業を考える地域住民の方々にも税の情報を正しく伝えたい」と2015年10月号から刷新。名称も「青色十色」と改め、「税を主体としながら、事業経営や生活にも資する内容」と新たな切り口でスタートした。
デザインに遊び心
現在紙面の制作には、同会職員の木村正哲さんと石川しのぶさんを中心に7人が参加。会内のIT企画戦略や会員への記帳方法の相談、指導などそれぞれの業務の傍らで、編集会議を開きアイデアをぶつけ合う。
「そもそも税の内容は、かたくて面白くない。それをどうやって読んでもらえるものにするか、毎号悩みます」と木村さんと石川さん。フォントやデザインの強弱で「パッと見て刺さる部分」と「よく読むとためになる部分」を両立し、高齢者から若年層にも訴えかけるシンプルかつ、遊び心のある紙面を目指す。また、今年10―11月号から紙面構成を変え、さらにブラッシュアップ。会員紹介や地域のおさんぽマップなど読み物も充実させた。紙面に掲載した情報を活用したウェブ展開にも力を入れる。
「青色十色を見て個別指導会への参加が必要だと思った」「確定申告の準備がスムーズに進んだ」など、反響もやりがいのひとつ。近年、県西地域では移住者による起業も増え、情報ニーズも高まっているという。「時間の無駄にはならない紙面づくりをしているつもりです。届いたらぜひ読んでください」と笑顔で話した。
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