任期満了に伴い9月8日に投開票が行われた松田町長選挙は、5期目を目指す現職の島村俊介氏(67)を阻み、新人の本山博幸氏(43)が787票差の3630票を獲得して初当選を果たした。当日有権者数は9833人で投票者数6536人、投票率は前回(2009年)より13・23ポイントダウンして66・47%だった。
12年ぶりの一騎打ちとなった今回の町長選挙、本山氏陣営は5月の出馬表明以来、若手の支持者らを中心に活動を展開し「人口の減少や町長の多選阻止、住民主権を取り戻して町を変えよう」と訴えて徐々に支持を拡大してきた。一方、現職の島村氏陣営は4期16年の実績を掲げ、小田急新松田駅北口周辺整備や定住化対策などを最重点施策として町民に支持を訴えたが支持層を広げることができず、これまでの選挙で集めていた得票数(約3500票)からも大幅に減らす結果となった。
「変化望む声が後押し」本山氏
本山氏の選挙事務所に午後10時10分過ぎに500票の差がついた途中経過が伝えられると、集まっていた支持者から「おめでとう」「よくやった」の喜びの声が沸きあがった。本山氏は「まだ開票率は85%、確定が出るまでは」と慎重に見守った。訪れる支持者らが徐々に増えるなか、3630対2843の得票数が発表されると、「よし、町が変わるぞ」の大きな声が上がった。本山氏は支持者らと肩を抱き合い、深々と頭を下げて回った。
天野力後援会長は「町を変えてほしいという町民の声から活動が始まった。若手を中心に年配者までのオール松田でやった結果だ。今日は本山町長誕生と東京五輪開催決定という歴史的な日になった」と挨拶。本山氏は「町民の声の代弁者として、同じ目線に立って全力で走り続けた4ヶ月だった。日に日にサポートしてくれる人も増えてきた。16年ぶりの新町長、町外出身者の町長の誕生でこの町の歴史を変えることができた。票の責任をしっかりと受け止めたい。勝敗を超えたオール松田で臨み、皆さんの声を形にしていくことで本山に頼んで良かったという町政にしていきたい」と抱負を述べ、最初に取り組みたいことに「子育て支援対策」を強調した。本山氏のもとには近隣の首長らが当選祝いに駆けつけた。
「多選批判に敗れた」島村氏
島村氏の選挙事務所では牧島かれん衆院議員や杉本透県議、久保寺邦夫県議ら来賓を含む100人を超える支持者らが詰めかけ、島村氏と共に開票の行方を見守った。
午後10時20分に本山氏に当確が出ると事務所周辺は一瞬水を打ったように静まり返り、次いで「信じられない…」等とすすり泣く声や落胆の声が上がった。
支持者を前にあいさつに立った高橋宥二後援会長は「4月から松田の良心に訴えてきたが、残念ながら通じなかった。何かの間違いではないかと驚いているが、勝った彼らに町政を譲らなくてならない。この上は新しい町づくりに期待しましょう」と謝辞を述べた。
島村氏は「私は16年間まじめに、ひたすらにやってきて、政策にも間違いは無かったと自負している。多選批判に敗れたのだと思う。結果は結果として受け止め、(敗れたからには)きれいに去っていきたい。私の不徳の致すところで申し訳ない。本当にありがとうございました」と無念の表情で語り、支持者らに深く頭を下げた。
足柄版のトップニュース最新6件
|
|
|
|
|
|