「令和2年度神奈川県高校野球大会」。参加175校の頂点を決める決勝戦は、相洋高校と東海大相模高校の対戦となり、8月23日に横浜スタジアムで行われた。
相洋は史上初の決勝進出。主軸としてチームを引っ張ってきたのは、文命中出身の加藤陸久捕手と鈴木心晴選手(共に3年)だ。この日のスコアボードには「3番・加藤」「4番・鈴木」が並び、王者に挑んだ。
加藤選手がレフトにハマスタでの初本塁打を放つなど終盤までリードを奪っていたが8回に逆転を許し、5─9で敗れ、初優勝を逃した。
互いの存在力に
エース・本田眞也投手をはじめ、投手陣を巧みにリードし、ゲームを作ってきた加藤捕手。決勝でも「誰が投げても特徴を活かしたピッチングを」と常に心掛け、言葉通りに扇の要としての役割を果たしきった。
また、打っても5回戦の慶應義塾高戦では、4点をリードされて迎えた5回に1点差に迫るタイムリー、準々決勝の立花学園戦では流れを呼ぶ先制タイムリーを放つなどチームを牽引した。
一方、鈴木選手は初戦から調子が上がらず「あと一本」が出ない試合が続いた。気心知れた加藤選手は「心晴はここぞという場面で打ってくれる。これから大事な場面で必ずやってくれる」と背中を押し続けた。
それに応えたのは準決勝の星槎国際湘南戦の第二打席。相手投手のストレートを捉えると打球はライトスタンドに飛び込む3ラン。「結果が出ない自分に仲間が暖かい声をかけてくれた。今日もチャンスで回してくれた仲間に感謝して打席に向かった」と汗を拭った。鈴木選手はこの日、4安打の活躍だった。
「特別な夏」に相洋大躍進の原動力となった2人。卒業後はそれぞれの進路を歩む。加藤選手は「心晴が準決勝で打ってくれたから自分も決勝で打てた気がする。あの明るさが頼りになった」と話し、鈴木選手も「野球を始めた頃からいつも加藤が自分の前にいた。進路が違ってもお互い刺激し合える関係でありたい」と、互いが今後の飛躍を誓った。
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