全国の文化財保存活動に携わってきた 内田 俊秀さん 大井町山田出身 74歳
文化の蓄積を後世に
○…小学6年生の時、地元の大井町山田で第一生命ビル建設前の発掘調査で出土した墓地を目の当たりにした。「どうしてこんなものが地中から出てくるんだろう」という疑問が研究者としての原点。小田原高校卒業後は明治大学に進学し考古学を専攻、発掘調査に赴く日々を過ごした。卒業後は発掘調査のアルバイトをして資金を貯め、文化財の保存修復を学ぶためにローマへ渡った。
○…日本に帰国後は研究所勤務を経て大学の教授に。1995年の阪神・淡路大震災では自身も被災し京都へ避難していたところ、文化庁の呼びかけで立ち上げられた「文化財レスキュー隊」に学生らと参加。がれきの中の文化財を調査した。危険な作業の連続であったが、同時に、災害が起きても文化財を助ける重要性を認識した。
○…「遥か昔から受け継がれてきた各地域の文化の蓄積を後世へ残していきたい」との思いで、全国の被災地で文化財の救出・保存活動を続けてきた。2004年の中越地震では、ある住民が所有していた観音菩薩像とその持仏堂を助け出した。大きな修復が必要だったというが、所有者が費用を全て負担して再建した。このような出会いを通し「一度は壊れてしまった文化財でも、修復されていく姿は被災者の心の支えとなるのではないか」とも考えるようになったという。
○…神戸市在住。これまでは京都芸術大学で研究を続け、10年ほど前に名誉教授に。現在は隣町の市史編纂に参加。関連の本を読み現地調査に赴くなど、忙しいながらも充実した日々を過ごしている。休日はイタリア料理を作り、家族らと楽しむことが息抜き。神戸は調味料から材料まで豊富に揃うと言い、その出来栄えも「なかなかのものです」と。
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