24回目の挑戦で剣道六段に合格した 熊坂 英明さん 南足柄市和田河原在住 43歳
弱さこそ、本当の強さ
○…8年越しの挑戦が実を結び、4月29日に剣道六段の栄に浴した。五段までは都道府県で審査する剣道では、全国規模で審査する六段以上の有段者は憧れの的となる。合格しても段位の数と同じ年数の修練が求められ、三段では合格から3年後、五段では5年後に六段の受検資格が得られる。つまり五段の取得から実に13年の年月を費やして六段に昇段したことになる。「間違いなく、かなりの遅咲きです。でもそれが自分です」と頷き、笑った。
○…「あろうことか勝負へのこだわりは全くないんです」。勝てない剣士の負け惜しみとも取れる言葉だがその奥は深い。小学5年で始めた剣道を中学でも続け、高校でも剣道部の門をたたくと思いきや「上級生に圧倒されて入部できなかった」。それでも「剣道を続けたい」と、師と仰ぐ小林栄一七段(故人)の南足柄剣友会に舞い戻った。「どうしても先生のようになりたかった」と18歳で指導者の道へ進んだ。
○…ひとつ年下に「強い」後輩がいた。勝負強く自我も強い後輩だった。ある日突然この後輩に「負けたくない」という感情が芽生えた。それまで週2回だった稽古を4回に増やし、それでも勝てず5日に増やした。遂には毎日稽古するようになった。その甲斐あってか「一発合格は難しい」とされる三段には一発で合格できた。その後輩から尊敬され「スッキリした」
○…1973年、和田河原生まれ。両親と3人、実家で暮らす。18歳からずっと富士フイルム神奈川工場に勤めている。恩師の遺志を継ぎ南足柄剣友会の代表になって6年。週に2回、小中学生を指導してきた。「基本に正しく綺麗な剣道を教わりました。この基礎があったからこそ今がある。先生が生きていたらたぶん喜んでくれた」。年3回の審査会を8年間無休で受け続け、24回目での大願成就。「生涯かけて恩師に近づきたい」―6年後は恩師と同じ七段に挑戦する。
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