2024年に刷新される1万円・五千円・千円が9日に発表され、箱根ゆかりの渋沢栄一が1万円札の肖像に選ばれた。
仙石原で牛乳やバターなど生産
渋沢栄一は銀行や製紙、化学やガスなど様々な事業を手掛けたが、開墾もその内の一つだった。明治13年、仙石原村・元箱根村の約700ヘクタールに益田孝男爵らとともに仙石原に牧場「耕牧舎」を開設。渋沢栄一の従弟である須永伝蔵が現地責任者となり、最盛期には牛200頭や馬80頭を放牧して牛乳やバターなどを地元や東京に出荷していたとされる。
耕牧舎はその後伝蔵の死去などにより閉鎖され所有地の約半分は仙石原村に寄付された。耕牧舎を母体に昭和5年に発足したのが、大涌谷の温泉造成などで知られる箱根温泉供給(仙石原)で、同社内には今も創始者の一人として、渋沢栄一の写真が掲げてある。同社総務課の辻内純一さん(48)は「新紙幣の肖像に選ばれたのは誇らしいこと。多くの業績を残したすごい人という認識で、驚きましたが意外とは思いません」。長尾峠の麓の草地には今も渋沢栄一が揮毫した須永伝蔵の記念碑が残っている。
千円札の裏面デザインは、葛飾北斎の「神奈川沖浪裏」。海外では「ビッグウェーブ」とも呼ばれる有名な絵で、箱根の岡田美術館や隣の熱海・MOA美術館が実物を所蔵している。岡田美術館では3月までの企画展で展示したばかり。学芸員の近森愛花さんは「嬉しい。ついに北斎がきたか、という感じです」。MOA美術館では、4月19日から5月21日まで展示している。
小田原でも新札を刷る
これらの紙幣の印刷を担うのが、小田原にもある国立印刷局工場。2004年の紙幣刷新の時は製造ラインにホログラム貼付機器などを導入したが、今回の刷新では高精細な「すき入れ」模様や肖像の3D画像が回転する最新ホログラムなどを採用する予定。小田原工場でも「偽造防止に向け必要な改修を行うことになる」(財務省)という。
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