古事記や日本書紀などの日本神話を通して星座神話を研究する長崎大学名誉教授の勝俣隆さん(67歳・北ノ窪在住)の名前がこのほど、小惑星に命名された。日本の国文学者の名前が付けられるのは初めて。
明星中時代、天体写真に感動
「Katsumatatakashi」と名付けられた小惑星は直径約5Km。火星と木星の間に存在し3・54年の周期で太陽の周りを回る。16等星ほどの明るさなので、肉眼や小望遠鏡では見ることができないという。
勝俣さんは箱根町宮城野出身。旧箱根明星中学校の時に理科の先生から米国の天文台の写真集を貸してもらった。「モノクロ写真でしたが肉眼では見られない星々に感動しました。何て宇宙は素晴らしんだろうと」。虫めがねを組み合わせて自前の望遠鏡を作り、夜空に没頭した。小田原高校卒業後、静岡大や京都大学大学院へと進み、国立新居浜工業高等専門学校助教授を経て1988年に長崎大学に着任。日本古典文学の教授として29年間、教鞭をとった。
日本に星座神話はないという考えが定説だった当時、勝俣さんは日本神話の「天孫降臨神話」の天宇受売命(あめのうずめのみこと)はオリオン座、猨田毘古神(さるたびこのかみ)は牡牛座ヒアデス星団、天(あめ)の八衢(やちまた)を昴星(すばる)と推定、日本にも星座神話が存在するという解釈を発表すると天文学会からも注目された。
この小惑星「22346番」は1992年、北海道の2人のアマチュア天文学者によって発見された。勝俣さんの30年来の知人で天体写真家の藤井旭さん(78)らが、勝俣さんの長年の功績をたたえ顕彰しようと命名権を持つ2人に相談。賛同を得てフランスの国際天文学連合IAUに申請し、今年初めに承認、小惑星命名委員会MPCから世界中に公表された。
勝俣さんは「ずっと名前が残るので、その名に恥じぬよう研究を続けていかなければ。身の引き締まる思い」と語った。
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