下郡3町を二分した県議選
14年ぶりの投開票となった県議選は、元町議の高橋延幸氏(53・無所属)と、商工会長・石倉幸久氏(62・自民)の新人一騎打ちとなり、3町で高橋延幸氏に軍配が上がった。
高橋氏は自身の旅館「魚判」で開票を待ち、優勢の知らせに涙を抑えきれぬまま支持者と手を握り合った。県議だった父・実氏が急逝したのは14年前。その後の県議補選に後継として出馬したが、同じ新人だった向笠茂幸氏(前県議)に敗北を喫した。
故・実氏を慕う支援者も
以降の県議選は4回とも無風で、昨年春に向笠氏の後継として石倉氏が浮上。自民公認として牧島かれん氏(自民)と出馬会見を開いた。14年越しとなる高橋氏の立候補表明の際は、同僚の町議らが同席した。
選挙戦に入ると石倉氏陣営には小泉進次郎氏(自民)が応援演説に立ち、高橋氏陣営には神山洋介氏(民主)や井上義行氏(元気)、松沢成文氏(次世代)などが応援に駆け付け、与野党対決の側面も。2人とも箱根では知名度が低かったが、高橋氏は町議としての実績もあり3町議会の間に支持を拡大。自主投票を決めた公明党も議員の複数が「個人的に」高橋氏の支援に動いた。出陣式には故・実氏を「おやじのようだった」「世話になった」と慕う人々も足を運んでいた。
高橋氏は135号線の渋滞対策や湯河原パークウェイの県道化、起業家支援センター創設や育児環境充実などを掲げる。支援者を前に「私を繋ぎにして3町の連携を保たせてほしい、父の残した初心生涯の言葉を自分に刻み、前に進みたい」と決意を語った。
石倉氏は海路などを活かした循環型観光圏や県の「未病を治す」事業推進などを掲げた。商店街連合会長や商工会長として地元で知名度もあったが及ばなかった。支持者を前に「3町の人々に助けて頂いた事は私の財産。結果は結果。反省しなければいけない」と語ると、拍手と声援が寄せられた。
下郡3町を二分したとも言われる今回の選挙。公開討論会などを通じて渋滞問題や人口減少など課題もあぶり出された。今は3町がいかに一丸となり、課題に向き合うかが問われている。