『小田原かまぼこ』などの地域団体商標を保有する小田原蒲鉾協同組合が、商標権を侵害したとして食品加工業者2社に商標を使った商品の販売差し止めと損害賠償約5000万円を求めた訴訟の判決が11月24日に横浜地裁小田原支部であり、栗原洋三裁判長は訴えを棄却した。訴えられた2社の先使用権などが認められた。
小田原蒲鉾協同組合は昨年3月、かまぼこを製造する南足柄市の(有)佐藤修商店と、その関連会社で小田原市栢山の(株)小田原吉匠総本店を提訴。訴状などによると、2社は組合に加入していないが、組合が2010年4月に登録出願した『小田原かまぼこ』や『小田原蒲鉾』といった地域団体商標を商品に記し、都内や千葉、長野県などの展示会やスーパーで販売していたという。
争点となった「先使用」「不正競争」
今回の争点となったのは、地域団体商標制度において保護される「先使用」と「不正競争の目的」の有無について。判決では、2社が2001年頃からと04年頃から名称を利用していたとして、先使用権が認められた。さらに、佐藤修商店のある南足柄市は、自然や歴史的なつながりから小田原周辺と捉えることができ、地域のかまぼこの付加価値を高めようとしてきたことが考慮され、「不正競争の目的はない」と判断された。佐藤修商店の弁護士は「主張が認められ、当然の判決だと思う」とコメントした。
一方、請求が棄却された組合は「不当なので控訴する」と話し、二審への準備を進めている。全国でも珍しい地域団体商標を巡る訴訟は、高等裁判所に舞台を移し再び争われることになりそうだ。