難聴キックボクサー快進撃 渋沢出身の郷州力(ごうしゅうりき)さん
秦野市渋沢出身のスーパーフェザー級プロキックボクサー「郷州力」がデビュー以来無敗の8連勝という快進撃を続けている。
本名は郷州征宜(まさのぶ)さん(27)。リングネームは「長州力」が由来だ。東京都秋葉原のキックボクシング&ムエタイフィットネスジム「フェニックスジム」(加藤督朗会長)に所属している。
2011年9月のKAMINARIMON全日本トーナメント65kg級で優勝、大会MVP選手に選ばれたことを機に同年11月プロデビュー。以降、8戦8勝。得意の右ストレートと打たれ強さを武器に「常に前に出て倒しに行く試合を心掛けている」という。
実は郷州さんは2級の聴覚障害を持つ。補聴器を付け、口の動きを読んだり簡単な手話、また筆談などで普段の会話をこなしている。
「小心者で試合の前は常にビビってます」と笑う郷州さんを心身ともに大きく支えるのは、同じく難聴を抱える恋人の女性だ。「デビュー戦の時に1人で神田神社へお参りに行って買ってきてくれた」という勝ち守は練習時、試合時にいつも持ち歩いている。
「支えがあるから頑張れる」
キックボクシングとの出会いは高校卒業後、先輩からの誘いを受け伊勢原の谷山ジムへ入会したことがきっかけだ。当時は「ほとんど行かずやめてしまった」が、21歳で東京に引っ越した後、同ジムの城戸康裕選手の優勝姿をテレビで見たことを機に、改めてフェニックスジムの扉を叩いた。
普段は都内の会社に勤めながら、月曜から土曜まで仕事後3時間は練習で汗を流す。「周りのチームメンバーが理解してくれているから両立できる。支えがあるからこそ頑張ろうって気持ちにもなります」と郷州さん。全身を動かしリフレッシュ出来る点がキックボクシングの魅力なのだという。
特技は小学3年から始めた野球。秦野シニアに所属し中学3年で全米選手権の日本代表に選ばれ、アメリカに遠征したことは今でもいい思い出だ。東海大学甲府高校に進学し、3年夏の甲子園で代打ながらもヒットで逆転勝利に貢献したという。
秦野市のファンへメッセージを、という問いに「凄く暇な時に偶然試合があったら一度見に来てください」と控えめにコメントした郷州さん。次の試合は「9月に出れたらいいな」。家族やジム、職場、応援するファンらの支えを一身に受け、今後も活躍が期待される。
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