三つ巴の激戦が予想された県議会選挙秦野選挙区(定数2)は、自民党現職の久保寺邦夫氏(78)と無所属新人の神倉寛明氏(37)が当選した。古谷義幸市長が事実上支援に回った現職の安藤慶氏(49)は2位の神倉氏に大差をつけられ議席を失った。前回が無風のため8年ぶりの選挙戦となったが、有権者の関心は低く、投票率は過去最低の40・68%だった。
変化訴え票伸ばす〈神倉氏〉
市議から県議選へ鞍替えした神倉氏。いち早く名乗りを上げ、世代交代や衰退するまちへの危機感を訴えて精力的に駅や辻立ちを行ってきた。政策も実績や既定路線を強調する現職と一線を画す。新東名周辺の活性化策にアウトレットモール誘致を提唱するなど、若い世代にも響く政策で日増しに支持を広げた。
午後11時過ぎ。本町の選挙事務所に吉報がもたらされると、割れんばかりの拍手と歓声に包まれた。もみくちゃにされながら支援者の前に立った神倉氏は「地盤や看板がない中、手作りの選挙戦を支えていただいた皆様に感謝の気持ちでいっぱい。元気のないまちの現状を受けとめ、市民中心の政治に努めていきたい」と挨拶した。日焼けした精悍な表情としわがれた声が激しい選挙戦を物語った。
トップ当選の座を死守〈久保寺氏〉
盤石の後援会組織でこれまで危なげなく当選を重ねてきた久保寺氏は、高齢や多選批判に加え、昨年の市長選対応への混乱から支持者が離れ、過去にない厳しい選挙となった。3月の決起集会では「こんなことはかつてなかった」と選対が焦りの表情を浮かべるほど空席が目立った。それでも2万票を獲得しトップの座を死守。前回から約5千票を落としたものの神倉氏の急追を抑えた。
当選の一報を聞いた久保寺氏は安堵の表情を浮かべながら「東奔西走していただいた皆様のおかげ。伏して重ねて感謝を申し上げたい」と集まった支援者に深々と頭を下げた。「秦野が良くなれば県が良くなるという気持ちで、市議や伊勢原の高山市長とも連携を取っていきたい」と抱負を語った。
「予想外の結果」〈安藤氏〉
松原町の安藤事務所。開票が進むにつれ「状況は厳しそうだ」と、運動員から連絡が入ると重たい空気が流れた。午後11時、3回目の開票で久保寺氏、神倉氏に大きく水を開けられ、敗戦が決まった。姿を現した安藤氏は「自分としては予想外の結果。選挙戦略と日ごろの活動の至らなさ。しっかりと受け止め今後を考えたい」と肩を落とした。安藤氏と二人三脚で選挙戦を進めてきた古谷市長は沈痛な表情を浮かべ「残念な結果。安藤君はまだ若く未来がある。この経験を今後に生かしてほしい」と励ましていた。
低投票率嘆く〈鎮西氏〉
直前に出馬を表明し、ソーシャルネットワークサービスを活用するなど独自の選挙戦を戦ってきた鎮西美保子氏は「投票率が思いのほか低かった。若者や働く女性、子育て世代へのメッセージが届かなかった。しかし2千人を超える人が同調してくれたことは良かった」と話した。
秦野版のトップニュース最新6件
|
|
|
|
|
|
|
|
|
<PR>