キウイフルーツなど観光果樹の実験栽培に取り組む諸星ファームの園主 諸星 義晴さん 渋沢在住 68歳
こだわり夢を実らせる
○…小さなハート形が可愛らしい「ミニ・ラブ」や果肉が赤く極甘の「紅妃」など10種類のキウイフルーツを、農薬を使わずに栽培している。病気や害虫との戦いに苦労しながらも「何が何でも、安心・安全にこだわりたい」と熱く語る。10月下旬の出荷に向けて商品に貼る「栽培期間中農薬不使用」というラベルには、大きな想いが託されている。
○…祖父も父も農家。自身も農家を継ぐつもりで高校卒業後、日本大学農獣医学部へ。学生時代に読んだレイチェル・カーソンの『沈黙の春』に感化された。「化学物質が人体へ与える影響を知り、恐ろしさで身体が震えた」。大学卒業後は相模原で畜産経営診断員として3年間働き、その後、農業の現状を知ろうと日本農業新聞の記者となった。
○…新聞記者時代に興味を持ったのも、化学肥料に頼らない農業。有機農業やアイガモ農業を実践する人々を追いかけ取材した。人体への負担が少ないとされる漢方薬にも注目し、大学の研究室などに通い情報収集に情熱を注いだ。1981年には野草のアマチャヅルが朝鮮ニンジンと似た成分を含むことを全国紙に先駆けスクープ。アマチャヅル茶ブームの火付け役となった。「記者時代の大仕事だったね」と振り返る。
○…父の死を機に、55歳で農家を継いだ。父は時代の流れを汲み、タバコ耕作から野菜やソバ、落花生に移行し、キウイフルーツも栽培していた。記者時代にニュージーランドで見た減農薬のキウイ園を思い出し、「日本でもやれる。秦野に向く観光果樹の特産化を目指そう」と進むべき道を決めた。
○…毎朝の日課は、7時に渋沢駅のドーナツ店でその日の計画を立てること。同じように通うシニア世代との情報交換もできるという。家では、娘が拾ってきた猫・まるちゃんとまったり。窓を通して見える渋沢の里山風景を眺め、「自然のままが一番」と穏やかな笑顔を見せた。
|
<PR>
|
|
|
|
|
|