1926年の開校式の様子写真＝秦野高校創立90周年記念誌より抜粋
神奈川県立秦野高校（神戸秀巳校長・生徒数１０７９人）が創立90周年を迎えた。開校記念日となる本日10月29日、生徒や同窓会、来賓など約１４００人が出席し、記念式典が市文化会館で盛大に行われる。
秦野高校の前身は「三郡共立学校」。１８８６年、大住淘綾郡長と足柄上郡長および有志が創立を県庁に申し出て、大住郡南金目村坪ノ内の宗信寺本堂を仮校舎として開校したという。その後、郡の合併による改称、育英学校時代、関東大震災での校舎倒壊などを経て、１９２６年10月29日、奈珂（なか）中学校として現在の下大槻に開校した。開校式では新校舎の前に紅白幕が張り巡らされ、生徒には記念品として「強飯折詰」が、来賓には「折詰」と「酒二合」が配られたという資料が残っている。
校歌の制定は１９３１年。童謡詩人で全国４００余校の校歌を手掛けた葛原 が作詞、小松耕輔が作曲した。旧制の秦野中学校時代を経て、１９４８年に学制改革により「神奈川県立秦野高等学校」に改称。１９５０年からは男子２１６人女子３人が入学し男女共学となったが、１９６３年に一度男子のみの入学に。その後、１９７４年に女子生徒86人が入学し、男女共学が復活した。１９８６年には「草創１００年創立60周年記念式典」を挙行。２００５年に学区撤廃され、県内のどこからでも通えるようになった。今年で草創１３０年、創立90周年を迎えた伝統校だ。
地域を元気にする学校に
創立90周年を迎えるにあたり、同校は昨年度から準備を進めてきた。記念事業費に充てるため、記念ペナントを作成したほか、校内マラソンもプレ事業として同校の卒業生で世界陸上で活躍したマラソンランナーの小幡佳代子さんを招くなど、様々な行事を90周年と結び付けて盛り上げてきた。「やれることは何でもやってきた。そうすれば生徒や保護者、同窓会の方たちもみんなワクワクしてくれる」と神戸校長は話す。
今年度は記念式典で配布する記念誌の作成のほか、「東日本大震災被災地交流ツアー」も実施。生徒や教職員、保護者、卒業生ら約40人が参加し、現地の高校生との交流、視察などを行った。また10月21日には１・２年生を対象に、地域貢献へのヒントを探る記念講演会も行った。秦野高校は近年、地域との連携に力を入れており、「垣根が低くなったと地域の方に言われるようになりました。生徒たちも地域の役に立っていることが分かり、地域も高校も元気になっている」と話す。こうした取り組みのためか、今年の学校説明会には例年より多くの来場者が訪れたそうだ。
歌やダンスで歴史をたどる
記念式典では実行委員長、学校長、来賓、生徒代表の挨拶のほか、姉妹校交流を結ぶカジョリーナシニアカレッジ（オーストラリア）からのビデオレターも紹介される。また、第２部では同窓会や同校の吹奏楽部やチアリーディング部などが、歌やダンスで歴史をたどる内容となっている。
神戸校長は「生徒には『自ら動けば、変化を起こす』という意識を持ち、地域と連携していってもらいたい。式典後も今度はプレ１００周年として、様々な仕掛けをしていきます」と話している。
新制高校の校章が掲げられた本館玄関
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