保護されたミゾゴイ
秦野市内の畑で8月26日、”世界でも1000羽ほどしか生息していない”と言われている希少種の鳥「ミゾゴイ」が弱っているのを秦野市名古木在住の関野雅夫さんが発見し保護した。市内の動物病院で治療し、厚木市七沢の神奈川県自然環境保全センターへ運ばれたが、既に衰弱していたため、まもなく死んだ。
ミゾゴイは体長約50cm、褐色のサギ科の夏鳥。平地や低山帯の森林に生息するが、越冬地である東南アジアの森林減少や、主な繁殖地である日本の森林伐採や土地開発等により1960年代以降個体数が減少したとされている。環境省のレッドリストでは絶滅危惧II類(絶滅の危険が増大している種)に区分され、保護のため生息地や営巣場所の公表も配慮が必要だという。
関野さんは保護した時の様子について、「畑の中でじっと動かなかったので近づくとくちばしを開けて威嚇してきた。コンテナをかぶせて保護したら少し落ち着いたようだった」と話す。
市内で定例観察会をしていた「はだの野鳥の会(八木茂会長)」に確認してもらうと、希少種のミゾゴイだと判明。観察経験が豊富な会員でさえ鳴き声は聞いても姿を見たという人はいなかったそうで、「身近な場所にいるとは驚いた」と八木会長。「外傷は無かったが脚を骨折しているようだった。センターが休館日だったので他の会員と動物病院に連れて行った」という。
翌日、ミゾゴイは「野生動物救護の会」の手でセンターへ運ばれたが、衰弱が激しかったためそのまま死んでしまった。
同センターでは人の活動などにより傷付いた鳥類や哺乳類を救護した県民から引き取り、自然に返している。秦野市環境保全課では「思いやりで救護・連絡してくれる市民も多い。野生動物全てを助けることはできないが、問い合わせを受けた場合は同センターへ受け入れ可能か確認している」という。今回の件とは別に、野生動物は一見傷ついているように見えても実は違っていたり、人が手を出さない方が良い場合もあるという。詳しくは【URL】http://www.pref.kanagawa.jp/cnt/f100559/