(公財)かながわ考古学財団が6月29日、新東名高速道路建設に伴う秦野市菩提横手遺跡の発掘調査で、約3500年前、縄文時代後期の住居址の覆土から大形の自立する中空土偶が出土したと発表した。県内では3例目。
2016年12月から菩提横手遺跡で調査を行ってきた(公財)かながわ考古学財団によると、頭部から胴体と腰、脚の部分がやや離れた場所で出土。左腕部と左脚部の一部が失われていたが、全体の形状が分かる形に復元された。
土偶は人や精霊を模したと考えられる縄文時代の土製品で、祭祀や呪術に用いられたと推定される。内部が空洞になっているのが「中空土偶」だ。
今回出土した中空土偶は全高約25cm、最大幅は推定約12cm。胴部と脚部の中が空洞で、線の文様「沈線」や縄で付けた模様「縄文」がある。筒形の胴部に怒り肩、外向きに腕が付き、乳房を表現したと考えられる2つのこぶがある。
前方に張り出した脚部は胴部に比べて大きく、自立が可能。大形の自立する中空土偶はこれまで県内で綾瀬市の上土棚南遺跡と平塚市の王子ノ台遺跡で出土している。
東海大学文学部の秋田かな子准教授は「小形の中実土偶に比べ、より見られる事を重視したものではないか。複数の集落を単位とした地域の祭祀に用いられた可能性が考えられる」と話す。日本大学大学院の鈴木保彦講師は「自立する大形の中空土偶は関東・中部地方でも出土例は極めて少ない。縄文時代の土偶型式の上から見ても新型式と認定でき、重要文化財クラスの優品」と評価する。
7月8日(日)まで横浜市歴史博物館の「発掘調査成果展示会」で公開中。10月23日(火)から11月4日(日)は秦野市立桜土手古墳展示館でも展示予定。
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