「サーヤット サーエー オイエー ゴハンジョウ アゲタテマツルトセー」…ゆったりとした太鼓の音と共に代々伝わる歌が聞こえたら、獅子舞が近づいてきた合図。玄関の扉を開けると、歌に合わせて舞う大きな獅子頭が現れ、疫病を払ってくれる。
一般的には正月などが多い獅子舞だが、秦野市戸川・三屋地区では夏場に飲み水による疫病が流行ったため、明治時代から毎年夏に獅子舞が行われている。戸川上と戸川中、戸川原と戸川西、三屋でそれぞれ別の獅子を用いるなど地域によって差があるという。
戸川上地区では7月29日、戸川上獅子舞保存会(飯田孝次会長・42人)と戸川上自治会(細渕洋次会長)が子どもたちと一緒に地区内200戸を訪ね獅子舞を披露した。獅子に噛まれることで”疫邪を払う”と伝わっていることから、訪問先では会員らが優しく「おばあちゃん、どこか痛いところない?」と尋ね、「腰だね」と答えられたところを獅子がガブリと噛んでいった。噛まれた人はみな「ありがとうございました」と笑顔に。子どもたちも塩を撒いたり、太鼓を叩いたり、鈴などを持って大人と一緒に歌ったりと活躍した。
今年初めて獅子舞を見た芦田愛夏(あいな)ちゃん(3)は自宅玄関を訪ねてきた獅子に「来ないでー」と大泣き。保存会のメンバーらは「元気がいいね」と和んだ。この地区の出身という母親の雅恵さん(42)は愛夏ちゃんを抱いてあやしながら「幼い頃から慣れ親しんだ行事。私も泣いていた記憶があります」と微笑んでいた。
「噛んでもらうのを楽しみにしてる人がいるんですよ」と細渕さん。飯田さんは「伝統芸能を繋ぐため、新興住宅地の人も含めて、今後もみんなで楽しくやることを心掛けていきたい」と話した。
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