軸受け用「ころ」の生産を行う株式会社共栄製作所(曽屋114/飯尾聡介社長)が、地域未来投資促進法に基づく地域経済牽引事業計画の承認を県から受けた。県内で承認されたのは、同社と株式会社ホテル横須賀(横須賀市)の2社のみ。共栄製作所では新工場を建設し生産体制を拡大するとともに、将来的には「ころ」の一貫生産体制の構築を目指す。
地域未来投資促進法は、先進的な事業に必要な設備投資に対し減税措置などの支援を行う制度。各都道府県が国の基本方針に則り計画をつくり、民間事業者から提出された計画を承認する。
神奈川県は京浜臨海部ライフイノベーション国際戦略総合特区を中心としたライフサイエンス分野、県西地域を中心とした未病分野、さがみロボット産業特区を中心としたロボット分野、観光分野、成長ものづくり分野などで地域経済を牽引できる事業創出を目指し計画を策定。6600万円超の付加価値創出が要件で、27件の承認目標に対し2018年から3年間で17社が認定された。
縁の下の力持ち「ころ」
共栄製作所が作る軸受け用「ころ」は、円筒のローラーベアリング。産業用工作機械や建設機械、風力発電をはじめ、精密さを求められる高速車両(鉄道)や航空機用ジェットエンジンなどにも使われている。
ベアリングは機械の回転軸を支え、摩擦なく回るようにするための「潤滑剤」としての役割を持つ部品で、円筒・円錐ころ(ローラーベアリング)と球面ころ(ボールベアリング)がある。荷重の大きさなどで用途が分かれ、例えば球面は車の車軸等に使われるのに対し、円筒は車を製造する機械等の部品となる。
「ころ」は形状形成(製造)、熱処理加工(硬化)、高精度加工(表面磨き)、保証業務(品質管理)の4工程があり、これを一貫して行う企業は全国で1社のみ。形状形成だけを行う企業がほとんどで、同社も当初はそうだった。
しかし刻々と変わる社会情勢の中で、より会社を発展させるため2013年に第2工場を作り、高精度加工と保証業務を導入。需要増加による業務拡大と、熱処理加工導入による一貫生産体制確立のためのさらなる工場建設を検討していた。
その中で地域未来投資促進法の存在を知り、県に事業計画を提出。産業の集積を活用した成長ものづくり分野で採択され、新工場設立にかかる設備投資の減税措置を受けることとなった。
地域経済の潤滑剤目指す
新工場では高精度加工の生産能力を拡大するとともに熱処理加工を導入することで国内2社目の一貫体制構築を目指し、付加価値創出額は1億3400万円を見込んでいる。1社目の企業は小さいサイズを得意としているのに対し、共栄製作所は大きいサイズを得意としているため、住み分けも可能になるそうだ。
「ころは様々な機械に組み込まれ、産業を支える潤滑剤としての役割があるという自負があります。計画通り会社を大きくすることで、地域経済も支える潤滑剤としての役割の一助を担えたら」と、同社担当は話す。
共栄製作所は軸受け用「ころ」の製造会社として、1955年に平塚市で創業。業務拡大のため1969年、秦野市の現住所に全面移転した。現在は球面・円筒・円錐ころを24時間体制で生産し、大型サイズ以上のものは月生産250万個を超える国内屈指の供給力を持っている。
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