秦野市内で2年前から「ナラ枯れ」の被害が拡大している。市内に多く自生するコナラなどブナ科の樹木が集団的に枯れる現象で、市では拡大を防ぐための早期発見と対応に当たっている。
ナラ枯れは正式名称「ブナ科樹木委凋(いちょう)病」といい、体長5mmほどのカシノナガキクイムシが媒介する「ナラ菌」が原因となる。木に入った雄がフェロモンで雌や仲間を呼び寄せ多数の成虫が入り込むことで、ナラ菌が蔓延し木が枯死する。
集団枯死は森林機能低下の懸念だけでなく、ハイキングコースや人家に近い場所などでは倒木の危険があり観光地の景観破壊にも繋がる。市環境共生課によると、ナラ枯れした木は7〜9月に紅葉するため遠目で特徴が判別できるという。
秦野市では一昨年、千村の頭高山(ずっこうやま)で初めて被害が出た。昨年は被害が拡大し、市内全域で「季節外れの紅葉」を確認。環境共生課の現地調査で300本以上のナラ枯れが確認された。
これを受け同課では観光地や人家に近い場所などを優先し、伐採と薬剤による駆除や粘着シートで対策を施した。また、今春には昨年被害を受けた木に粘着シートを施したほか、他の個体を呼び寄せる習性を利用した罠を試験的に運用するなど対処を試みている。
今年の調査はこれからだが、現状すでに葛葉緑地や菩提、弘法山でナラ枯れと思われるものが多く見られている。「それらしいものを見かけたら環境共生課(【電話】0463・82・9631)にご連絡を」と同課。
県内でも広がる被害
ナラ枯れは1990年頃から日本海側を中心に被害が目立ち、2010年をピークに全国的に減少した。しかし地域によっては被害が増加し、県内では16年に大磯町で初めてカシナガを捕獲。昨年は15市7町で被害が出ている。
森林庁の対策マニュアルによると、要因の一つに全国的なナラ類の大径木化が挙げられている。1960年台の燃料革命や木材価格低下に伴う薪炭林等の放置で、在来種であるカシナガの繁殖に適した森林が広がり、全国的な被害に発展したと考えられている。
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