「秦野(はたの)病院」(秦野市三屋131)などを運営する医療法人社団秦和会が11月30日に設立50周年を迎えた。設立当初から先進的な精神医療を実践してきた秦和会。当時の思い出や今後の精神医療等について、秦和会の高橋明比古理事長(67)と秦野病院の笠原友幸院長(62)に話を聞いた。
「私が高校生の時、創業者である高橋幸枝先生が秦野に病院を開くと聞き、一緒に来たことがあります。当時のこの辺りは本当に何もなくて、ここに病院を作るのか、と驚いた記憶があります」と高橋理事長は話す。
1966年、中央林間で内科・小児科医として働いていた幸枝氏が、精神医療を学び秦野市三屋に「秦野病院」を開院。1970年には「医療法人社団秦和会」の設立が認可され、以来、50年に渡り、秦野市の地域医療を支えてきた。
幸枝氏が開院当初から大切にしてきたのは「心を病む方の社会復帰」と「女性へのケア」。高橋理事長は「当時の精神医療はまだ未発達な部分も多かった中で、早くから社会復帰を促すための治療やプログラムを実践していました」と話す。「同時に、女性の医師ならではの視点で、女性へのケアも早くから着手してきました。それは今でも続いており、女性の外来が多いのが特徴です」と笠原院長。
幸枝氏は今年1月に他界したが、開院当初から掲げているその遺志は、跡を継いだ高橋理事長と笠原院長に引き継がれている。
精神と身体総合でケアを
同院では多様化するニーズに対応していくため、2015年に精神科デイケア・就労移行支援・デイサービスの複合施設となる「秦野病院ケアセンター」を開所。また2017年には、地域医療をより充実させるため、一般内科外来の受付を拡大している。
笠原院長は「人の健康は精神と身体から成り、どちらも初期の段階からケアできる医療体制が必要」と語る。今後は職員の働き方の工夫や職員同士のコミュニケーションの充実を図ることで、精神・身体の両面からケアできるスタッフの育成と、サービス向上をめざしていく。
また、幅広い年齢層を受け入れるためのバリアフリー化やアメニティの充実なども検討。開院当初から実践してきた早期社会復帰への支援と、女性のケアもより一層充実させ、「心の通いあう医療を行っていきたい」と話す。
コロナ禍での心の保ち方
最後に精神が不安定になりがちなコロナ禍の中で、いかに心を健やかに保つかの秘訣を聞いた。
「人と人とのコミュニケーションの取り方が急速に変わった。文字を通してのコミュニケーションが主となり、声のイントネーションが伝わらないことで人間関係への影響が危惧されている」と高橋理事長。そんな中で重要なのは「自分の価値観を押し付けないこと」だという。
笠原院長は「情報を適切に取り入れることも大切です」と話す。「現在はマイナス面が取り沙汰されているが、家族で過ごす時間が増えるなどのプラス面もある。不安を煽る報道ばかりに耳を傾けず、小さな喜びを感じていただけたら」。
「このウイルスとの戦いは数年で乗り越えられると信じている」と力強いメッセージを送ってくれた高橋理事長と笠原院長。秦和会は時代のニーズに対応し、次の50年に向かっている。
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