左から生産者の山口啓三さん、和田薫さん、諸星一雄さんと、葉ニンニクを使った餃子などを開発、販売する「菖蒲庵」の穐山孝彦さん、齋藤佐和子さん
ニラよりも肉厚、ニンニクよりも香りがマイルド。炒め物など油との相性が抜群――。今が旬、近年注目されている野菜が「葉ニンニク」。秦野で栽培が始まったのは2015年。ニンニク特有の匂いが農作物の鳥獣被害の軽減にもつながることから、はだの都市農業支援センターと神奈川県農業技術センターの支援と、JAはだのの後押しでスタートした。
市内菖蒲で葉ニンニクの栽培に力を入れている生産者の諸星一雄さん(葉ニンニク研究会会長・会員13人)を訪ねた。諸星さんらが栽培している葉ニンニクは「ハーリック」という品種。葉ニンニク専用の品種で球が大きく育つことはないそうだ。植え始めるのは9月ごろで11月から収穫できる。収穫までの期間が約3カ月と短いのも特徴だ。
見た目はニラとネギのよう、球の部分はラッキョウの2倍くらいの大きさ。ニンニク特有の香りは強すぎないが食欲をそそる。油との相性が抜群で野菜炒めやかき揚げなどに最適だという。ビタミンC、ビタミンB2、ポリフェノール、食物繊維などの栄養素も豊富。葉ニンニク好きの人は最盛期の今、塩漬けにして冷凍し、年間通して料理に使うというほど。
この美味しさに注目し生産者を応援している、持ち帰り点心専門店「菖蒲庵」(市内鈴張町)では、葉ニンニクをつかった餃子やチヂミを販売し、人気商品となっている。諸星さんは「葉ニンニクの魅力を地元の人にももっと知ってもらいたい。学校給食の食材や市外や都内市場への出荷などもめざしたい。地場産の農産物生産で地域貢献につなげたい」と話している。葉ニンニクはJAはだの「じばさんず」などで購入できる。