秦野市内に多く自生するコナラなどブナ科の樹木が集団的に枯れる現象「ナラ枯れ」の被害拡大が止まらない。市環境共生課によると県のガイドラインで秦野は防除困難な「中・激害地」に分類され、先行調査した葛葉緑地では昨年の倍の被害が確認された。現在は関係課で集まり対策会議を開き、10月までに詳しい調査の実施と情報のとりまとめを予定している。
ナラ枯れは正式名称「ブナ科樹木委凋(いちょう)病」といい、体長5mmほどのカシノナガキクイムシが媒介する「ナラ菌」が原因で起こる。木に入った雄がフェロモンで雌や仲間を呼び寄せ多数の成虫が入り込むことで、ナラ菌が蔓延し木が枯死。遠目には季節外れの紅葉のように見える。
秦野では3年前に頭高山で初めて被害が確認され、一昨年には市内全域に拡大。昨年の市の現地調査で300本以上のナラ枯れが明らかになり、市では伐採と薬剤による駆除や、粘着シートを施すなど対策を講じた。
市民から問い合せ
カシノナガキクイムシが産卵を行うブナ科の樹木は薪などに活用され、かつては人家に近い里山で多く栽培されていた。しかし生活用式の変化によって使われなくなり、木が大径木化。周囲を山に囲まれた秦野も樹齢の長いブナ科の樹木が多く存在している。
自然観察施設くずはの家の職員と、同施設のボランティア団体「えのきの会」が葛葉緑地を調査したところ、昨年25本だったナラ枯れは55本と倍増。「詳しい調査はこれからだが、恐らく他の場所も同様ではないか」と市環境共生課は話す。
ナラ枯れは例年、梅雨が終わったあたりから急速に増え始める。今年は市民からも「山が紅葉している」「あれはいったい何なのか」といった問い合わせが多く寄せられているという。
発見したら通報を
同課では、山中については「自然のサイクルの範囲に収まるので心配ないと思う」としている。弘法山や震生湖、散策路、道路わきなど市が管理する人に近い場所は各課で現地調査を行い、危険を及ぼす可能性があるものに関しては伐採等の処置を施していく。
一方で、行政では処置できない民間所有の場所に関して懸念を示す。「気づかないまま倒木や落枝し人や家、車などに被害が出た場合、土地所有者に責任が発生する可能性があるため早急な対処が必要。防災の補助金対象になる可能性もあるので、相談して欲しい」と警鐘を鳴らす。
また、通行中も街中や公園、ハイキングコースなどで季節外れの紅葉を起こしている木には注意が必要だ。「こういった場所を見つけたら不用意に近づかず、環境共生課(【電話】0463・82・9631)にご連絡ください」と、注意を呼びかけている。
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