NHK大河ドラマ「青天を衝け」主人公 渋沢栄一が遺したもの 連載寄稿 第6回「ビバ渋沢栄一!」 エッセイスト・加藤正孝(鶴巻)
Y今回は渋沢の〈平和主義〉がテーマです。彼がいつも行動の拠り所とした『論語』では孔子は戦争を嫌っていた...。
Kええ、孔子は元々武力ではなく仁徳による政治(徳治政治)を考えていたのですから、戦争を否定するような話が『論語』で七回出てきます。例えば、戦争は人を捨て殺しにすることだとか(論語、憲問篇)...。
Yとるすと渋沢の場合はどうでしょうか。
K彼は明治政府の大蔵省に仕出してすぐ省のトップの大久保利通とやり合っています。渋沢は財政担当として富国強兵から法外な(軍事)予算請求をする大久保に対し健全財政に立脚して"分相応の富国強兵"を主張。大久保と対立し役人をやめることとになる。
Y彼の生涯には、日清・日露、第一次大戦等の戦争があり、戦争のたびに軍備が増強され日本は、朝鮮や中国へ武力進出を強める。
K渋沢は「武力を行使して他国を脅かすのは道徳に反した野蛮で忌まわしい行為」と繰り返し言って戦争にはいつも反対しています。
Y発言だけでなく行動もしてますね。日露戦争後の明治45年(73歳)、同士と帰一協会という組織を作って究極の世界平和実現へ向けて言語や宗教、又国を一つにするといった研究や講演をしたようです。
K成程。他に国際連盟が第一次大戦後に出来ますが、その支部ともいえる国際連盟協会を彼はつくっています(80歳)。又NHKの放送が昭和2年に始まりますが、その会長としてマイクを通して人々に平和を訴えている。
Y確か"心の軍縮"という言い方をしています。現在のユネスコ憲章の「戦争は人の心の中に生まれるから、心の中に平和の砦を築かなければならない」という理念を先取りしている感じです。
(次回へ続きます)
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