狩猟で得た天然の野生鳥獣の食肉を素材とする料理「ジビエ」。近年脚光を浴びているジビエに着目し、秦野市における観光振興の核のひとつとして、普及への道を模索している秦野商工会議所の佐野友保会頭。「秦野には山や美味しい水と空気があり、豊かな自然が魅力のまち。さらにブラッシュアップするために"食"の魅力が不可欠」と話す。一般社団法人日本ジビエ振興協会代表理事を務め、自ら長野県で人気のレストランを営むジビエ料理の第一人者、藤木徳彦さんの話を聞くため、佐野会頭が高村栄二秦野市副市長、飲食店の経営者らと共に長野の同氏の元を訪れた。2020年2月には、ジビエの魅力を知ってもらうため、藤木シェフを秦野に招いてセミナーを開催した。
佐野会頭は「ジビエはミネラルや鉄分が豊富。ヘルシーで美容にも良く女性にも勧められる。県が取り組む未病対策にもなる。まずは需要を増やすことから始めたい」と話す。現在ジビエ料理を提供している秦野市内の飲食店を自ら訪問し、食べ歩きながらシェフらと意見や情報の交換を続けている。「秦野市は東京からわずか1時間程度で来られる便利なまち。秦野に来たらどこででもジビエが食べられるようになれば、まちの魅力は増す。ラーメン店のチャーシュー、コロッケやメンチ、餃子だっていい。切磋琢磨していろんな店のいろんなメニューに取り入れて欲しい」と訴える。さらに「1年に一度とか二度、学校給食の食材に提供できないか。ジビエを通じて秦野の自然環境に対する理解や愛情を育むことができる。食育の一環としても良い面がある」と続けた。
秦野を含む丹沢山地では、鹿やイノシシなどが畑の農作物などを食い荒らし、鳥獣被害が深刻になっている。これまで自治体では増え過ぎを防ぐため、猟友会などに委託しニホンジカなどの「管理捕獲」を行い、生息頭数を調整してきた。しかし、捕獲された鹿は大部分が行政の予算で廃棄物として処理されてきた。狩猟の仕方や解体方法、解体後の保存などの条件を整え、「ジビエとして活用が進むようになれば、処理費用の圧縮につながり、鳥獣被害対策にもなる」と説明する。
新東名高速道路が新秦野インターチェンジまで開通し、大きな契機となる中「秦野市により多くの人を呼び込みたい。ジビエにはそのための可能性を感じる。これからも普及や啓発に努めていきたい」などと話した。
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