7月〜9月期の概況
全業種総合の業況判断D.I.は▲(マイナス)22・3を示し、前回(22年4月〜6月期)と比べ1・3ポイント小幅悪化となった。
企業物価の上昇に伴い価格転嫁への動きが強まる中、製造業、建設業を中心に同業他社間の競合による価格競争への対応に苦慮する企業が見受けられる。また、小売・飲食業では新型コロナの感染再拡大の影響による来店者数の減少など、景気回復の妨げとなる要因が多く、景況感は2期ぶりに悪化している。
10月〜12月期の見通し
来期予想は11・1ポイント改善の▲11・2。売上額D.I.、収益D.I.共に改善の予想となっている。
製造業
景況感は前回調査から3・9ポイント悪化の▲12・9。人手不足を起因とする納期遅延の発生など、人繰りに苦慮する企業が多く、依然としてマイナス域で推移している。原材料価格の高騰に加え、部品素材不足による生産量の低下など、社会情勢の変化の影響を大きく受けているようだ。
しかし、今後は自動車部品製造業で大手メーカーからの受注増が見込まれており、来期の予想業況判断は11・7ポイント改善の▲1・2。
卸売業
卸売業の業況判断D.I.は前回調査比2・8ポイント悪化の▲20・7となった。原材料・燃料費高騰の影響による収益環境の悪化が続く中、食品卸売業の感染症再拡大に伴う売上減少、建材卸売業での価格競争など、多くの業態でマイナス影響が出ている。建材卸売業の一部企業では、仕入価格高騰対応策として、在庫保有数増を図る様子も見受けられる。来期予想は10・4ポイント改善の▲10・3。
小売・飲食業
新型コロナ感染症再拡大の影響で飲食店を中心に来店者数が減少傾向となり、業況判断D.I.は前回調査比1・1ポイント悪化の▲45・3となった。原材料価格、光熱費等の値上げによる収益環境悪化が続き、売上額、収益D.I.も共に大幅悪化。各店がテリバリー強化や新メニュー開発等で対策を講じるも、抜本的な改善にはつながっておらず、今後もマイナス域での推移が予想されている。
来期の業況判断予想は18・8ポイント改善の▲26・5。
サービス業
業況判断D.I.は前回調査比7・7ポイント改善の▲34・8。理美容業では個人消費の冷え込みによる客単価の減少や来店周期の長期化の影響がみられる。介護業では営業活動の自粛で新規顧客の獲得が難しく、運送業では燃料費高騰に伴う輸送コストの上昇とドライバー不足による受注機会の損失が生じており、依然として人手不足が課題となっているようだ。
来期の予想は13・0ポイント改善の▲21・8となっている。
建設業
原材料価格の高騰が依然として続いているが、消費者側の値上げに対する許容度も低く、民間工事では相見積もり等による価格競争が強まっているようだ。高騰分の転嫁は思うように進んでおらず、請負価格D.I.は3期ぶりに悪化している。
また、建設業の慢性的な課題である人材不足についても、不足感は一層強まっており、業況判断D.I.は前回調査比6・4ポイント悪化の▲17・9となった。
来期予想は16・1ポイント改善の▲1・8となっている。
不動産業
全業種中、唯一プラス域で推移している不動産業。今期も業況判断D.I.は前回調査比5・9ポイント改善の5・9となった。中栄信金エリア内の不動産需要は根強く、好調を維持。一方で商品仕入は大手企業や他エリアからの参入による仕入価格の高騰につながっており、経営上の問題点として商品物件の不足や価格高騰を挙げる企業が多くみられる。
来期予測は15・0ポイント悪化の▲9・1。
■調査時期/2022年9月上旬
■調査地域/秦野市、伊勢原市、平塚市、厚木市、開成町
■調査企業数/340社
■回答企業数/318社
※D.I.値とは、ディフュージョン・インデックス(Diffusion Index)の略で、「良い」「やや良い」と回答した企業の割合から、「悪い」「やや悪い」と回答した企業の割合を引いた値。値が小さいほど業況判断は悪いということを表す。