障害者の自立支援を行うこぐまパンで工場長を務める 齋木 直理(なおみち)さん 曲松在住 53歳
一人一人と向き合いたい
○…発達障害を抱える大人や、脳の部分的損傷などが原因で社会生活が困難な人を支えるNPO法人元氣空間。妻の空海子(くみこ)さんが代表を務める同法人が運営する「こぐまパン」で、自身も高次脳機能障害の当事者として従業員の就労支援に励んでいる。もちろんパン作りも真剣。おいしいパンを届ける努力を惜しまない。
○…東京都立川市出身。大学生のとき交通事故に遭い6週間意識不明 に。一命はとりとめたが、脳に損傷を負ったという。卒業後、国内で働いていたが、自身が抱える障害に詳しい医者を探すため一念発起してロサンゼルスに留学。ボランティアをしながら芸術系の学校に通い、写真の個展を開くなど才能を開花させた。「病んでいた心が晴れたようで、ロスでの生活は居心地がよかった」。空海子さんとはインターネットで出会い、意気投合して帰国後すぐに結婚した。
○…2017年、NPO法人を設立し、東京を拠点に障害者のグループホームを立ち上げようとしたが、新型コロナの流行と重なり断念。「このままとどまりたくない」と、東京障害者職業能力開発校で身につけたパン作りの技術を生かして障害者の就労支援を決意。水と空気のおいしさが決め手となり秦野に店を構えた。「挫折しそうになっても空海子さんの頑張りを見て自分も頑張ることができた」。今も二人三脚で支え合う。
○…こぐまパンで働いている女性は働きはじめた頃、人と話すことに抵抗があった。しかし今では「いらっしゃいませ」と明るく話しかけるほどになり、支援の大切さを実感している。「一人ひとりに向き合いたい。互いのできることを引き出すことで、働くことに自信をもってもらえれば」と慈愛深く語った。
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