丹沢山小屋組合の会長を務める 神野 雅幸さん 表尾根 木ノ又小屋主人 59歳
登山者見守る山男
○…表丹沢の16施設が加盟し、登山者の安全を見守る役割を担う丹沢山小屋組合。これまでは組合が年2回ヤマビル対策を行ってきたが、今年は自身が会長を務める「表丹沢登山活性化協議会」と協力してボランティアを募り登山道を清掃する活動を新たに始めた。目的は組合の負担軽減と、登山者の意識啓発。「合わせて山小屋の存在と役割も改めて周知していきたい」と意欲を見せる。
○…もともと山が好きで、本格的に始めたのは40歳頃。後輩に誘われたのがきっかけで「自分の方がハマってしまった」と笑う。活動は毎週の登山や、自ら立ち上げた山岳会「Grazie」の代表を務めるほか、歩荷として表尾根の「木ノ又小屋」への荷揚げも行っていた。そんな折、高齢で引退する木ノ又小屋の主人から「やってくれないか」と打診を受け、その思いを引き継いだ。
○…小田原市出身・在住。妻、子ども3人・母親の6人家族。平日はSEとして働き、土日は山小屋に。荷揚げは自ら行っている。普段はランニングや筋トレで週末の山に備える。以前はトレーニングのための歩荷だったが、最近はこれが逆転しているそう。「自分の力で登る達成感と、季節や天候で表情を変え常に新しい発見があるのが山の魅力」と語る。
○…最近の悩みのタネは、増加傾向にある遭難事故。「安易な登山の観光イメージが一つの問題」と警鐘を鳴らす。登山計画書提出が形骸化し、本来の意味を失いつつあることにも危機感を募らせる。「間口の広がりは嬉しいが、場合によっては命に関わるので下調べや準備をしっかりしてほしい」と真剣な表情。小屋主の高齢化や担い手不足、施設の老朽化など課題は多く、行政との協力など持続可能な方向性を模索している。
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